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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【一般演題】
重篤な血小板減少症を起こし異なる診断であった妊娠高血圧症候群の3例


塚本 薫, 大井 理恵, 立花 由理, 内川 道子, 浅野 真, 奥田 亜紀子, 河村 美玲, 榊原 咲弥子, 砂倉 麻央, 湯原 均, 阿部 史朗, 宮澤 豊
東京都立大塚病院産婦人科


妊娠高血圧症候群(以下PIH)により血小板減少を来たすことは良く知られているが,今回妊娠経過中に著明な血小板減少を来たし異なる診断を得た3例を経験した.そこで妊娠経過中に血小板減少を来たすさまざまな疾患の鑑別に関して,若干の文献的考察を加えて検討する.症例1は37歳初産.妊娠32週でPIHと血小板減少(Plt 4.2万),胎児発育不全(FGR)のため管理目的に当院へ搬送となった.特発性血小板減少症(ITP)の増悪を考えたが,PAIgG陰性で骨髄穿刺でも否定的であった.35週4日に破水しPlt 2.7万のため濃厚血小板20単位輸血後に筋腫核出術後妊娠の適応で緊急帝王切開術を行った.術後に自然回復し1ヶ月後8.8万となった.妊娠前より軽度の血小板減少を指摘されており低形成髄がPIHにより増悪したと考えられた.症例2は40歳初産.妊娠33週2日でHELLP症候群のため当院へ搬送され,同日緊急帝王切開となった.術前Plt 7.2万,Hb 13.8g/dlであったが,術後1日目にPlt 3.5万,Hb 5.6g/dlと急激に血小板減少と貧血が進行しAST/ALT 1402/1388と急上昇を認めたため全身CT施行したところ,肝破裂が疑われTAEなどの放射線治療目的に他院へ産褥搬送となった.症例3は26歳初産.妊娠34週でPIH,血小板減少のため当院へ搬送になった.Ccr 56ml/min,尿蛋白6g/日と著明な腎機能低下を認めたため分娩誘発を行ったが経腟分娩に至らず,濃厚血小板10単位輸血後,妊娠34週5日に緊急帝王切開となった.妊娠終了後も貧血・血小板減少と急性腎不全が進行し,術後9日目に内科転科となり尿検査にてBence―Jones蛋白陽性のため多発性骨髄腫と診断され,骨髄移植目的に他院へ転院となった.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 189-189, 2011


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