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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
加重型妊娠高血圧腎症に両眼の漿液性網膜剥離を合併した1例
利岡 あゆみ, 上山 和也, 平山 貴士, 中原 万里子, 矢田 昌太郎, 今野 秀洋, 窪 麻由美, 白井 洋平, 鈴木 千賀子, 田嶋 敦, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂浦安病院産婦人科
【緒言】妊娠高血圧症候群では全身の血管性変化により,眼底の脈絡膜循環不全を引き起こし,まれに網膜剥離を発症するといわれている.今回我々は,妊娠高血圧症候群に漿液性網膜剥離を合併した症例を経験したので報告する.【症例】39歳,3経妊2経産.158 cm,59 kg.家族歴に特記すべきことなし.妊娠初期に本態性高血圧合併妊娠の管理目的に当科紹介受診.妊娠10 週よりα メチルドパの内服を開始し,血圧コントロールは良好であった.妊娠27 週5 日,霧視と上腹部痛を主訴に当科外来を受診し,血圧250/160 mmHg 以上,蛋白尿(3+)を認め入院となった.高血圧に対して塩酸ニカルジピン,硫酸マグネシウム持続静注により降圧を図り,硬膜外麻酔を併用した.しかし血圧のコントロールが困難であり,胎児心拍モニタリング上,遷延性徐脈を認めたため胎児機能不全の診断で同日緊急帝王切開術を施行した.術前より閃輝暗点,両眼の霧視を認めていたため,帝王切開術後に頭部MRI 検査,眼底検査を施行したところ,両眼の漿液性網膜剥離の診断となり,降圧薬内服とともにシアノコバラミン点眼液による加療をおこなった.現在も眼科外来に通院中であるが,徐々に症状の改善がみられており視力も回復してきている.【考察】妊娠高血圧症候群では視力低下や視野異常などの眼症状を呈する症例があるが,多くの場合は中枢性で一過性である.漿液性網膜剥離の予後は一般的に良好とされているが,まれに網脈絡膜の萎縮により視機能障害を残す場合がある.妊娠・産褥における眼症状に対して適宜,頭部MRI 検査や眼底検査などを行い,眼科医と連携し治療にあたる必要があると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
190-190, 2011
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