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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠23週の子癇発作を保存的に治療した一例
井上 千春, 定方 久延, 小松 央憲, 高橋 未央, 矢崎 聡, 阿美 寛人, 阿美 聡明, 笠原 慶充, 勝俣 祐介, 峯岸 敬
群馬大学産婦人科
諸言:子癇発作は妊娠高血圧症候群に伴い痙攣・意識消失・視野障害などを呈する状態であり,病状コントロールのため妊娠中であれば早期のtermination が選択される場合が多い.今回我々は妊娠週数の早い妊婦に発症した子癇発作を保存的に治療し,満期まで妊娠継続が可能であった1 例を経験したので報告する.症例:37 歳,女性.未経妊未経産.【既往歴】なし【家族歴】高血圧(実父)【現病歴】自然妊娠.初期検査,妊婦健診ともに異常なし.妊娠経過中に高血圧・尿蛋白の指摘なし.23 w 2 d 自宅にて首を振るような発作があり前医へ救急搬送.頭部単純CT で出血性病変なく安静で経過観察していたが,全身性の間代性痙攣が出現.頭部MRI にて左後頭葉に浮腫性の変化あり,子癇発作の疑いでMgSO4 1 g/h 開始し当院母体搬送.入院時BP 115/81 mmHg.生化学データに異常なく,症状改善していたため児の未熟性も考慮して保存的治療の方針とした.MgSO4 1 g/h 持続点滴継続(8 日間).23 週3 日当院にて頭部MRI 再検しPRES(posterior reversible encephalopathy syndrome)と中大脳動脈の血流低下を認めた.24 週,27 週で頭部MRI 再検し画像所見は改善傾向を示した.当院入院後は発作なく経過.入院管理下に妊娠を継続し,37 週1 日腰椎麻酔下で選択的帝王切開術施行.女児2100 g Apgar score 8-9.術後は産褥子癇予防にMgSO4 1 g/h 持続点滴48 時間継続投与した.産褥子癇発作なく,POD 12 に母児ともに退院.考察:妊娠中の子癇発作に対し,保存的治療も選択肢の一つとなりうると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
192-192, 2011
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