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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
1児にsevere FGRを認め,娩出時期に苦慮した2絨毛膜性2羊膜性双胎の1例
御木 多美登, 田中 利隆, 村上 圭祐, 伊熊 慎一郎, 遠藤 周一郎, 菅沼 牧知子, 太田 篤之, 村岡 友美子, 五十嵐 優子, 田口 雄史, 三橋 直樹
順天堂大学静岡病院産婦人科
【諸言】28 週未満の早期から重症のFGR を呈する症例に対する,明確な娩出基準はなく,現時点では新生児の管理の能力も含め施設ごとに決定している.当院では胎児発育,胎児well-being および母体合併症の状態を総合して判断しているが,2 週間以上の胎児発育の停止,NST で基線細変動の消失,パルスドプラ法での臍帯動脈血流の逆流といった所見が重なった場合に児娩出を考慮している.今回妊娠22 週より1 児にsevere FGR を認め,娩出時期に苦慮した2 絨毛膜性2 羊膜性双胎の1 例を経験したので報告する.【症例】33 歳,2 経妊2 経産,他院で妊娠初期に2 絨毛膜性2 羊膜性双胎の診断.妊娠21 週に両児間体重差41.3% のため当院紹介受診となった.妊娠23 週より管理入院となったが,1 児は231 g 女児,2 児は635 g 男児と両児間体重差63.6%,1 児の臍帯動脈血流の逆流を認めた.入院後,NST を連日施行,週2 回の超音波検査で胎児発育,血流,羊水量などを評価した.1 児の発育は遅延し,臍帯動脈血流は逆流,羊水ポケット2 cm 前後で推移していた.しかしNST では基線細変動と一過性頻脈を認め,一過性徐脈はほとんど認めなかった.今症例では双胎のため,2 児の合併症の可能性を考慮し,妊娠30 週5日で帝王切開を施行し,1470 g,Ap 7/8,男児,358 g,Ap 2/3,女児を娩出となった.現在のところ両児とも大きな合併症なく経過している.【結論】2 週間以上の発育停止や臍帯動脈血流の逆流は重度の胎盤機能不全が予測され,児の予後不良因子と考えられている.しかし500 g 未満の超低出生体重児の場合,発育・血流・NST などの中で,どの基準を重視して娩出時期を決定するかは今後更なる検討が必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
192-192, 2011
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