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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
FLPの適応とならないTTTSの管理方法に関する後方視的検討
福岡 真弓, 浅野 真, 内川 道子, 塚本 薫, 河村 美玲, 奥田 亜紀子, 小澤 克典, 砂倉 麻央, 大井 理恵, 湯原 均, 阿部 史朗, 宮澤 豊
東京都立大塚病院産婦人科
TTTS(双胎間輸血症候群)は一絨毛膜二羊膜双胎の約10%に合併する.妊娠26週未満では胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(fetoscopic laser photocoagulation;FLP)による治療が第一選択となりうるが,適応基準から外れたものについては確立された管理・治療法がないのが現状である.今回我々は過去3年間に発症したFLPの適応とならないTTTS3症例について,管理方法に関する後方視的検討を行った.症例1は24歳0回経妊0回経産,22週2日で切迫早産と双胎間羊水量較差のため母体搬送.翌日にはTTTSとなっており,計3回羊水除去を行って妊娠継続を図ったが,23週5日母体適応にて緊急帝王切開.受血児/供血児 394g/458gで日齢150日現在両児とも生存中.症例2は29歳0回経妊0回経産,22週1日で切迫早産とTTTSのため母体搬送.こちらはtocolysisのみで妊娠継続を図ったが,24週1日分娩不可避のため緊急帝王切開.受血児/供血児 488g/508gで受血児は生存中であるが,供血児は日齢90に多臓器不全のため死亡.症例3は31歳2回経妊0回経産,28週2日でTTTSのため母体搬送.羊水除去1回行ったが,受血児の血流異常傾向のため29週1日に緊急帝王切開.受血児/供血児 996g/872gで両児ともに生存中.Tocolysisのみで経過を見ても,羊水除去を行った症例とほぼ同様の妊娠期間延長が望めたが,腹満という自覚症状が全くとれないため,母体には過酷な選択肢となる.羊水除去は妊娠期間延長には有効な方法であるが,穿刺回数が増える度破水や羊膜穿破など子宮内環境も変化する可能性が高い.なお26週を越えると,児の生存率もよくなるため積極的にterminationを考慮する.今後も更なる検討が必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
193-193, 2011
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