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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
本邦における子宮頸癌若年化の検証
嘉村 実裕子1), 宮城 悦子2), 今井 雄一2), 山本 葉子2), 丸山 康世2), 井畑 穰2), 助川 明子2), 佐藤 美紀子2), 沼崎 令子2), 杉浦 賢2), 平原 史樹2)
横浜市立大学医学部医学科1), 横浜市立大学産婦人科2)
【目的】日本人女性の頸癌の年齢調整死亡率・年齢調整罹患率の低下は止まり死亡数は1985年より25年間漸増を続けている.また若年者での死亡率・罹患率の上昇が指摘されているため,今回頸癌の若年化の現状を検証しその要因と本邦の頸癌予防の課題を明らかにすることを目的とした.【方法】公表されている1985年から2009年の日本人女性の頸癌死亡率・罹患率のデータを用いその年齢別年次推移を検討した.また学会報告による1990年から1994年と2004年から2008年の浸潤頸癌症例43718例と,当院産婦人科における1985年から1994年と2001年から2010年の浸潤頸癌症例845例を対象にIII期IV期の進行癌の比率の変化の検討を行った.【成績】人口10万人対の頸癌の2009年死亡率・2005年罹患率の1985年比は50歳以上では低下していたが,20代ではそれぞれ3.21倍と2.99倍,30代では1.39倍と2.20倍と増加し,40代では0.94倍と1.57倍であった.またIII期IV期の進行癌比率については,学会報告による2004―2008年の1990―1994年に対する比および当院の2001―2010年の1985―1994年に対する比で,進行癌症例が20―39歳では各々1.50倍と9.45倍,40―59歳では各々1.51倍と4.00倍,60歳以上では各々1.08倍と2.50倍となり,近年幅広い年代で進行癌比率が増加していることに加え若年者の進行癌比率が特に増加していることも判明した.【結論】頸癌死亡率・罹患率の明確な若年化が認められ,さらに進行癌の比率が高まっていることも示された.検診による浸潤頸癌罹患率と死亡率減少効果が機能していない現状を改善するには,社会全体での頸癌予防意識が短期間に浸透し,本邦女性の高い検診受診率とHPVワクチン接種率達成が必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
195-195, 2011
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