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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
子宮頚部原発悪性リンパ腫の一例
笠原 華子, 矢田 昌太郎, 鈴木 千賀子, 平山 貴士, 中原 万里子, 今野 秀洋, 上山 和也, 窪 麻由美, 白井 洋平, 田嶋 敦, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院産婦人科
今回我々は診断に苦慮した子宮頚部原発のびまん性大細胞型B細胞型リンパ腫(DLBCL)の一例を経験したので報告する.症例は72歳2経妊2経産,腹部膨満感を主訴に近医受診.巨大骨盤内腫瘍疑われ,当院紹介受診となった.血液検査上,白血球6200/μl(好中球54%,リンパ球27%),LDH 1029 IU/l,CEA 2.6 ng/dl,CA 19-9 7.8 U/ml,CA 125 49.4 U/ml であった.また,子宮頚部細胞診,内膜細胞診は共にclassII であった.骨盤MRI にて長径20cm の境界不明瞭に造影効果のある腫大した子宮腫瘍を認めた.また,腹部CT にて多発リンパ節転移を認めた.子宮内膜組織診を行ったが,確定診断は得られなかった.以上より進行した子宮平滑筋肉腫を疑い,治療方法は内診上,子宮の可動性も悪いため,手術ではなく化学療法を選択した.化学療法のレジメンはpaclitaxel+carboplatinで行った.化学療法後BUN 107 mg/dl,Cre 5.87 mg/dl と急性腎不全を認めたため,透析を2 回施行した.化学療法後20 日目で行ったMRI で子宮腫瘍は長径12 cm まで縮小したため,手術を行った.術式は腹式単純子宮全摘術+両側付属器切除術を選択した.病理診断は子宮頚部に発生したDLBCL であった.術後はR-CHOP 療法を行った.今回の症例は確定診断に至らず,術前診断は子宮平滑筋肉腫として治療を施行したが,結論としてはDLBCLであった.女性生殖器原発の悪性リンパ腫は稀であり,子宮原発の悪性腫瘍に悪性リンパ腫の鑑別診断も念頭において診断することが重要と考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
198-198, 2011
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