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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠40週で発症した,絞扼性イレウスの一例
村木 紗知, 間瀬 徳光, 阿部 一也, 小池 ひとみ, 難波 直子, 竹内 沢子, 疋田 裕美, 上田 万莉, 大橋 浩文, 森田 豊, 丸茂 元三, 石田 友彦
板橋中央総合病院産婦人科
【はじめに】妊娠中に絞扼性イレウスを合併することは稀であり,本邦では1/3000〜1/10000との報告がある.妊婦では症状が非典型的であり,診断に苦慮することも多い.また,診断の遅れにより母児ともに重篤な合併症を引き起こすこともある.今回我々は,妊娠40週で発症した絞扼性イレウスの一例を経験したので報告する.【症例】39歳,3経妊1経産.21歳時に開腹虫垂切除術の既往歴あり.妊娠40週0日に右下腹痛,嘔吐を主訴に来院した.不規則な腹緊も認めた.診察および諸検査にて,産科的・内科的な重篤な疾患は否定的であった.絶食,補液にて経過観察したが症状の軽快はなく,十分なインフォームドコンセントを得たのち,腹部X線検査およびCT検査を施行し,二ボーを伴う著明な小腸ガス像を認め,イレウスと診断した.保存的加療により軽快せず,腸蠕動は亢進して絞扼性イレウスを疑ったことより,外科的治療が必要と判断した.3322gの児を帝王切開にて娩出した後,腹腔内を観察したところ,右広間膜付近に術後癒着によると考えられる策状の組織があり,同部に小腸が嵌入,絞扼されており,絞扼性イレウスの原因と判明した.腸管壊死は認めず,消化器外科医らと共に絞扼を解除し,手術を終了した.術後経過は良好であった.【考察】妊娠中に発症する絞扼性イレウスの60〜70%が,過去の手術の癒着に起因するものとされる.本症例も虫垂炎の開腹治療歴が存在し,増大子宮による腸管圧迫も相まって絞扼性イレウスを発症したものと示唆された.特に開腹歴のある妊婦には本症のような病態の存在も念頭におく必要があると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
198-198, 2011
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