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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【一般演題】
第1子と第2子の転帰が大きく異なったクローン病合併妊娠の1例


手塚 真紀, 目黒 紗林子, 山本 泰廣, 森嶋 かほる, 高村 将司, 野村 香央里, 坂巻 健, 小林 浩一
社会保険中央総合病院産婦人科


【序】炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)とは,腸粘膜に慢性の炎症・潰瘍をおこす原因不明の疾患であり,クローン病(Crohn Disease:CD),潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis:UC)の総称である.当院はIBDセンターを有し,2005年1月〜2010年12月の6年間にCD合併妊娠17例,UC合併妊娠33例の出産を経験しているが,今回第1子と第2子の転帰が大きく異なったCD合併妊娠の1例を経験したため報告する.【症例】27才CD発症,32才より当院内科通院.第1子妊娠時35才.CDのcontrol不良のため,妊娠許可は出ていなかったが,妊娠6週2日,妊娠検査陽性にて産婦人科初診.妊娠時,IOIBDスコア5点と全身状態は不良であり,在宅IVHおよびinfliximab投与中であった.妊娠中はIVH,薬物療法,食事療法を継続.妊娠20週頃より胎児成長不良傾向出現し,妊娠24週6日,子宮内胎児発育遅延のため入院.妊娠25週6日,子宮内胎児発育遅延,胎児機能不全のため大学病院に母体搬送.妊娠26週0日,胎児機能不全の診断で緊急帝王切開施行.児は497g女児,Apgar5点であった.第1子出産後,CDの悪化のため数回入退院を繰り返していたが,38才,妊娠6週2日,妊娠検査薬陽性にて初診.この時点でIOIBDスコア0点と,前回妊娠時よりCDの状態がよく,妊娠中も食事,薬物療法のみでCDのcontrol良好であった.妊娠37週4日,当院にて帝王切開施行.児は2498g男児,Apgar8点であった.術後特に合併症なく母子共に退院した.【まとめ】今回の症例は,CD合併妊娠では原疾患のcontrolが悪いと重篤な結果になること,また,逆に寛解期に妊娠し,疾患の良好な管理を行うことができれば正常産となることを示した貴重な1例であった.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 199-199, 2011


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