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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠中に腹痛を契機に発見された腎細胞癌の一例
小池 ひとみ, 難波 直子, 村木 紗知, 室本 仁, 間瀬 徳光, 竹内 沢子, 疋田 裕美, 上田 万莉, 大橋 浩文, 森田 豊, 丸茂 元三, 石田 友彦
板橋中央総合病院産婦人科
【はじめに】妊娠に合併する腎細胞癌は極めて稀である.今回我々は,腎細胞癌を合併した妊娠21週の症例を経験した.腎細胞癌合併妊娠の管理方針について,これまでの報告例や文献的考察を含めて報告する.【症例】症例は33歳.0経妊0経産,自然妊娠.妊娠経過は順調であったが,妊娠21週に臍部から右下腹部にかけての疼痛を主訴に当院消化器科を受診した.腹部の反跳痛と末梢血液中白血球数およびCRPの上昇を認め,急性腹症の鑑別のため十分なインフォームドコンセントの後に腹部造影CTを施行した.右側壁に4cm大の子宮筋腫を認め腹痛の主因と考えられたが,左腎上極に7cm大の腫瘤を認めた.泌尿器科にて造影MRIなどの精査が施行され,腎細胞癌の疑いも高く腎摘出術の方針となった.手術の時期に関しては,児の胎外生活が可能とされる28週頃まで待機する選択肢が考慮されたが,患者・家族は,母体の健康を優先し早期の手術を希望し,人工妊娠中絶ののち経腹的左腎摘出術施行となった.左腎腫瘍の病理組織学的診断は異型度G2のRenal cell carcinoma(Granular cell, Clear cell and chromophobe cell carcinomaの混在), Stage 2,T2N0M0であった.【考察】腎細胞癌合併妊娠は極めて稀であり,腎摘出術の時期など管理方針についてはコンセンサスが得られていないのが現状である.治療方針の選択においては倫理的側面も含有しており,個々の症例において十分なインフォームドコンセントの上,慎重に検討しなければならない.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
200-200, 2011
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