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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠経過中に腎動脈塞栓術を行った2症例
高木 綾子, 山田 響子, 石川 隆三, 大西 庸子, 天野 完, 海野 信也
北里大学病院総合周産期母子医療センター産婦人科
経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)は1979年のBrownの報告以来,産科出血症例に選択される機会が増加している.妊娠経過中に施行されることはまれであるが,今回は妊娠経過中に十分なインフォームドコンセントのうえTAEを行った2症例を経験したので報告する.症例1:25歳,未経妊未経産.妊娠11週で血尿を認め,超音波断層法・MRIにより腎動静脈奇形(AVM)と診断された.18週で左腎膿瘍,貧血の診断で入院加療となった.AVM破裂による出血が危惧され24週で無水エタノール(左腎動脈上極枝2.5ml,中極枝1.0ml)によりTAEを行った.33週より切迫早産のため入院管理が必要となったが,38週で分娩(2408g,女児,Ap―S 8/9,臍帯動脈血pH 7.27)となり,母児の経過は良好である.症例2:40歳,2経妊未経産.29歳,呼吸苦で内科受診.両側気胸,CT上多発嚢胞を認め肺部分切除術施行.リンパ脈管筋腫症(LAM)と病理診断された.その後も気胸を繰り返し(計7回),脱気,胸膜癒着術により加療された.31歳で子宮筋腫核出術を受けたが再発し経過観察された.34歳,左背部痛を認め施行したCT上腎血管筋脂肪腫(AML)からの出血と診断され,入院にて経過観察された.39歳,CTでAMLの増大を認め,泌尿器科を受診した.手術もしくは腎動脈塞栓術の適応と判断され,その後妊娠が判明した.分娩後にTAEの予定であったが11週,左背部痛を認めたため受診.左腎周囲に血腫像を認めAMLの破裂が疑われた.貧血の進行がみられたため,輸血を施行し,13週でn―ブチルシアノアクリレート・リピオドールの混合液(左腎上極枝1ml)によりTAEを行った.その後はAMLからの出血はなく,現在21週で呼吸状態も安定し順調に経過している.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
200-200, 2011
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