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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【一般演題】
難治性気胸に対し胸腔鏡下手術を行い,妊娠継続し得た肺リンパ脈管筋腫症(LAM)合併妊娠の一例


河野 彩子, 牧野 真太郎, 祖川 侑子, 久保田 絵美, 稲垣 徹訓, 依藤 崇志, 輿石 太郎, 杉村 基, 竹田 省
順天堂大学医学部産婦人科


【緒言】肺リンパ脈管筋腫症(pulmonary lymphanioleimyomatosis:LAM)とは妊娠可能年齢の女性に好発し,平滑筋細胞が気道,血管,リンパ管で異常増殖し,閉塞症状を来す,稀な疾患である.LAMはしばしば妊娠中に増悪し,呼吸不全の原因となる.今回我々は,妊娠初期よりLAMによる続発性難治性気胸を認め,妊娠17週で胸腔鏡下手術を行い,その後気胸の再発なく順調に経過した症例を経験したので報告する.【症例】37歳,5経妊0経産.1回の妊娠中絶歴と4回の流産歴がある.平成17年に気胸を認め,肺生検施行しLAMと診断された.喫煙歴はない.自然妊娠成立後,妊娠経過は良好であったが妊娠16週0日に突然の呼吸困難感を認め,救急外来受診した.胸部レントゲン上右肺3度気胸と診断され,胸腔ドレーン留置し入院管理となった.しかし肺膨張性不良のため,第4病日より―10cmの吸引圧による脱気を行った.第10病日になっても肺膨張性が悪く難治性であったため,手術適応と判断し,腋窩小開胸胸腔鏡下右肺瘻閉鎖術を施行した.手術は分離肺換気で行い,麻酔はAOSによる全身麻酔と硬膜外麻酔を併用した.右上中葉間上葉側にpin holeを認め,leak pointをENDO LOOPで結紮した.手術時間は41分,出血量5ml.術後より肺膨張性良好で,術後3日目で退院となった.その後気胸の再発なく,胎児発育も良好であった.【結語】本症例のように治療抵抗性を示したLAMによる続発性気胸に対して胸腔鏡下手術を施行することで,より確実な治療効果が得られることが示唆された.ただし妊娠中に分離肺換気による全身麻酔下での手術を施行することは母児共にリスクが高く,十分な説明のもと熟練の技術が必要であると考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 201-201, 2011


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