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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
妊娠を契機に発症し,G-CSFを投与し管理した重症特発性好中球減少症合併妊娠の一例
東上 加波, 小林 康祐, 栗原 史, 鶴岡 みずほ, 山中 政人, 大本 和美, 松浦 孝幸, 島 絵美里, 八重樫 優子, 宇田川 秀雄
総合病院国保旭中央病院産婦人科
好中球減少症の原因は多岐にわたり,薬剤性,再生不良性貧血などの血液疾患,ウイルス感染,遺伝性,自己免疫性などがあげられる.今回,妊娠を契機に発症した特発性好中球減少症の一例を経験したので報告する.症例は27歳の初産婦,妊娠初期のスクリーニング採血にて白血球2500μLと低値を認めた.血液内科併診し良性好中球減少症が疑われ経過観察となっていた.妊娠の進行に伴い好中球の減少を認め,34週4日時点で白血球1200μL,好中球240μLとなった.原因は特定できず特発性好中球減少症と考えられた.重症感染症を引き起こす危険がありgranulocyte colony stimulating factor(以下G―CSF)の投与を開始し,分娩までG―CSF(フィルグラスチム75μg)の投与を計10回行い,白血球2100μL,好中球851μLまで上昇を認めた.妊娠39週4日オキシトシンによる分娩誘発中に胎児機能不全を認め緊急帝王切開にて2762g女児を出生,Apgar score1分値8点,5分値9点であった.分娩後は好中球はG―CSFを投与することなく上昇傾向を認めた.出産後に骨髄穿刺を実施したが血液疾患は認められなかった.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
204-204, 2011
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