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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【一般演題】
妊娠24週に腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した特発性血小板減少性紫斑病合併妊娠の1例


山岸 由起子1), 菊地 範彦1), 角田 英範1), 安藤 大史1), 山崎 悠紀1), 小野 恭子1), 大平 哲史1), 金井 誠2), 塩沢 丹里1)
信州大学医学部産婦人科1), 信州大学医学部保健学科2)


特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic thrombocytopenic purpura;ITP)は妊娠可能年齢に好発し,妊娠と合併する頻度が高い疾患である.さらに妊娠自体に伴う血小板減少や分娩時の出血管理の為に,妊娠中にITPの治療を必要とする場合がある.今回,ITP合併妊娠で血小板数が1万/μlまで低下し,ステロイド治療抵抗性であったために妊娠中に脾臓摘出を要した症例を経験したので報告する.症例は初産婦で18歳の時にITPを発症し,非妊娠時の血小板数は2〜3万/μlで出血傾向がなかったため無治療で経過観察されていた.20歳時に妊娠が成立し,妊娠を契機に血小板数が1〜2万/μlに低下し出血傾向も出現した.妊娠10週よりプレドニン2mg/dayの内服治療を開始したが反応なく,妊娠23週の時点では血小板数は1万/μlとなった.出血傾向を伴うITPであり,今後の妊娠継続のために妊娠24週2日に腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.術前にγ―グロブリンの投与を行い,手術当日の血小板数は14万/μlまで上昇した.術中出血量は200gで,特に問題なく手術は終了した.術後は一過性に血小板数が異常に増加し,術後7日目には最高65万/μlとなった.血小板増多に伴う血栓予防の為に術後2日目(妊娠24週3日)より低用量アスピリン療法を開始した.血小板数は徐々に低下し,術後23日目に23万/μlまで低下し,アスピリンの内服を終了した.現在,妊娠28週0日で母体のその他の血液検査や児の発育に異常は認めていない.今回の症例を踏まえ,ITP合併妊娠に対する管理や治療および妊娠中の脾臓摘出術の注意点を報告する.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 205-205, 2011


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