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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【一般演題】
胎内診断しえた先天性食道閉鎖症(Gross A型)と十二指腸閉鎖症併存の一例


竹本 崇史, 梅津 桃, 峰岸 一宏, 小田 英之, 門平 育子, 宮越 敬, 田中 守, 青木 大輔, 吉村 泰典
慶應義塾大学病院産婦人科


【緒言】先天性消化管閉鎖症は器官形成期の異常に発症するとされ,その原因は多岐にわたる.今回我々は先天性食道閉鎖と十二指腸閉鎖の併存を胎内診断し,出生後迅速な治療が可能であった症例を経験したので報告する.【症例】37歳1経妊0経産.妊娠13週時の超音波検査にてdouble bubble sign陽性であり,十二指腸閉鎖が疑われたため当院紹介となった.妊娠26週時の超音波検査にて巨大胃泡,下部食道の拡張を認め,十二指腸閉鎖と食道閉鎖併存と胎内診断した.妊娠36週時に行った胎児MRI検査では,上部食道と下部食道の連続性を認めず,下部食道,胃の著明な拡張,羊水過多を認め,食道閉鎖症(Gross A型,以下A型),十二指腸閉鎖症の所見として矛盾しなかった.児は妊娠37週3日,選択的帝王切開にて分娩となった.2424gの男児で,Apgar score 7/8(1分値/5分値)であった.出生後の腹部X線検査にて腸管ガス像を認めず,胃管のcoil―up signを認めた.また,気管支鏡検査にて気管食道瘻は認めず,先天性食道閉鎖症A型,離断型十二指腸閉塞症と診断した.日齢1に,十二指腸―十二指腸吻合,胃瘻造設術を施行した.現在は食道の延長を図り,二期的な食道―食道吻合術の待機中である.【結語】先天性食道閉鎖症は,胎生4―7週頃の気管と食道の分離過程の異常によって発症する.発生頻度は3000―5000例に1例であり,そのうちA型は10―15%である.食道閉鎖症A型に十二指腸閉鎖を併存した症例の報告はまだ少なく,本症例では胎内診断しえたことにより生後迅速な治療が可能であった.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 206-206, 2011


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