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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
臍帯潰瘍を合併した先天性上部消化管閉鎖の2症例
西島 千絵1), 名古 崇史1), 村山 季美枝2), 細沼 信示1), 小池 敦子2), 和田 康菜1), 西ヶ谷 順子2), 近藤 春裕1), 飯田 智博1), 斉藤 寿一郎1), 石塚 文平2)
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院産婦人科1), 聖マリアンナ医科大学産婦人科2)
【緒言】先天性上部消化管閉鎖は比較的予後良好である.しかしながら,臍帯潰瘍を合併すると胎児は出生前に出血性ショックとなり予後不良となる例が多い.臍帯潰瘍を合併した先天性上部消化管閉鎖の2例を経験したので報告する.【症例1】34歳,2経妊2経産.33週1日,消化管閉鎖を疑い切迫早産のため前医入院.34週1日,胎児の皮下浮腫を認め当院へ母体搬送となった.来院時,子宮口3cm開大,胎胞形成あり.超音波検査で全身の皮下浮腫と腸管拡張像を認め消化管閉鎖を疑った.NST上reassuringであり,経腟分娩の方針となった.児は2870 g,Apgar score 5/7,男児で血性羊水を認めた.全身浮腫とチアノーゼがありHb 5.5 g/dl と重度貧血であった.胎盤は剥離所見なく,臍帯動脈が瘤状に突出し断裂を認めた.児は日齢16 に多発小腸閉鎖,先天性短腸症候群と診断して小腸吻合術を施行した.【症例2】29 歳,2 経妊1 経産.29 週5 日,切迫早産のため当院へ母体搬送となった.来院時,超音波検査で羊水過多とdouble bubble sign から十二指腸閉鎖を疑った.インスリン様成長因子結合蛋白1 型検出試薬(チェックPROM)が陽性であった.陣痛発来のため緊急帝王切開術を施行.児は1134 g,Apgar score 5/9,男児.臍帯はその表面への血管の露出を認めた.児は日齢7 に十二指腸,空腸閉鎖,腸回転異常症と診断して,十二指腸,空腸閉鎖術およびLadd手術を施行した.【結語】上部消化管閉鎖症例において,臍帯潰瘍を診断することは極めて困難であるが,本症を疑った場合には臍帯潰瘍の合併を念頭におき,厳重な管理が必要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
206-206, 2011
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