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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
胎児心臓腫瘍4症例の検討
金野 潤, 牧野 康男, 小林 藍子, 秋澤 叔香, 三谷 穣, 松田 義雄, 松井 英雄
東京女子医科大学産婦人科
【目的】胎児心臓腫瘍は,約10,000例に1例とまれな疾患であり,結節性硬化症の一症状,胎児水腫,発症部位が予後を規定するとされている.当院に紹介された自験例4例の臨床経過を報告する.【症例1】子宮内胎児死亡例.妊娠28週で紹介.左心室内に2.6cm径の充実性腫瘍があり,胎児水腫も認めた.妊娠31週に子宮内胎児死亡となった.剖検では横紋筋腫と診断された.【症例2】乳児死亡例.妊娠35週で紹介.右房内に1.5cm,左室内に2.6cm径の充実性腫瘍を認めた.妊娠36週時に胎児頻脈を認め,胎児機能不全の診断にて緊急帝王切開となった.児は2,792 g,Apgar score(1/5 分)8/8 点で出生.腫瘍は左室腔内を占拠し,生後4 ヵ月で多臓器不全にて死亡した.【症例3】幼児死亡例.妊娠36 週紹介.両心室内に多発性に充実性腫瘍を認めた.妊娠40 週に経腟分娩.児は3,662g,Apgar score(1/5 分)9/9 点で出生.出生後,CT 検査で胎児期には明らかでなかった両側の側脳室壁にsmallnodule と石灰化を認め,結節性硬化症が疑われた.生後の心機能に問題はなかったが痙攣を認め,2 歳8 ヶ月で多臓器不全にて死亡した.【症例4】自然退縮例.妊娠35 週で紹介.右心房内に3.5 cm 径の充実性腫瘍を認め,心嚢液貯留も認められた.分娩時の胎児循環不全が予想されたため,妊娠37 週時に帝王切開となった.児は2,892 g,Apgarscore(1/5 分)4/9 点で出生.生後,MRI 検査にて血管腫が強く疑われた.自然退縮傾向がみられ,1 歳6 ヵ月現在特に治療を要していない.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
208-208, 2011
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