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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【一般演題】
胎児腹腔内臍帯静脈瘤の1例


鈴木 円香, 亀田 高志, 水谷 亜紀子, 島村 京子, 鏡 一成, 深石 孝夫
桐生厚生総合病院産婦人科


【緒言】胎児腹腔内臍帯静脈瘤は臍帯静脈の限局的な瘤状の拡張を呈するまれな疾患である.今回,我々は1例の胎児腹腔内臍帯静脈瘤の症例を経験したため報告する.【症例】38才,1経妊0経産,子宮外妊娠1回(右卵管妊娠),前医にて顕微授精・解凍胚移植にて妊娠成立.妊娠10週より当院に紹介となり妊娠経過管理していた.妊娠19週の妊婦健診時に胎児の腹腔内,臍帯付着部〜腹腔内に直径16mm程度の嚢胞状の腫瘤を認めた.カラードップラーにて嚢胞内部に血流を認め臍帯静脈と連続しており胎児腹腔内臍帯静脈瘤と考えられた.その他には明らかな胎児奇形を認めなかった.その後胎児腹腔内臍帯静脈瘤は直径15〜20mm程度でほぼ変わらず推移した.妊娠40週4日に前期破水にて入院.41週0日に陣痛発来,その後微弱陣痛のため陣痛促進施行したが,分娩停止にて同日緊急帝王切開施行.経過中CTGに明らかな異常を認めなかった.3808g,女児,Apgar Score 8―9,臍帯動脈血 pH 7.28にて出生.出生後の新生児エコーで,肝内の門脈左枝・臍帯静脈部から臍にかけて低エコーの管腔様構造を認めた.内部に血流は観察されなかった.その他には明らかな合併奇形を認めず,経過良好で退院となった.【考察】胎児腹腔内臍帯静脈瘤はその他の奇形や胎児染色体異常を合併することが多く,胎児腹腔内臍帯静脈瘤を単独で有する症例であっても静脈瘤内の血栓形成などが原因で子宮内胎児死亡に至る可能性が指摘されており,妊娠経過に十分な注意を要すると考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 208-208, 2011


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