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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
尿路奇形を合併した女性生殖器奇形を生後早期に診断し得た1例
塩野入 規, 近藤 壮, 横井 由里子, 塩沢 功
波田総合病院産婦人科
【緒言】女性生殖器奇形はしばしば尿路奇形を伴うが,診断が困難なことが多く出生後の画像検査などで偶然発見されることもまれではない.今回,胎児超音波検査で右腎無形成を認め女性生殖器奇形の合併を疑い,出生後早期に女性生殖器奇形を診断し得た症例を経験したので報告する.【症例】在胎40週0日女児.患児母:26歳,0回経妊0回経産,家族歴・既往歴に特記すべきことなし.妊娠分娩経過:自然妊娠し近医にて妊娠管理され妊娠経過は順調であった.妊娠34週3日帰省分娩目的で当科を受診した際の胎児超音波検査で右腎が描出されなかった.他には明らかな胎児異常を認めず,左腎,膀胱は正常所見で羊水量も正常範囲であったため通常の妊婦管理を行った.妊娠40週0日前期破水のため入院し,同日自然陣痛発来し順調に経腟分娩となった.2968gの女児で,Apgar score;1分値8点,5分値9点,臍帯動脈血pH7.348,明らかな外表奇形を認めず,生後14時間で第一尿を認め,一般状態は良好であった.生後に腹部超音波検査,腹部単純CT,腹部単純MRIを施行し右腎無形成,重複子宮,右子宮断端閉鎖,膀胱右背側に嚢胞を認めHerlyn―Werner症候群疑いと診断した.出生後経過は順調であり,出生後6日目に退院し現在小児科,婦人科で経過観察中である.【結語】女性生殖器奇形と尿路奇形は合併することがあり,その原因としてミュラー管とそれを誘導するウォルフ管の発生不全があると考えられる.尿路奇形,女性生殖器奇形のいずれかを認める場合には他方の奇形も常に念頭におく必要があると考える.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
209-209, 2011
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