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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
出生前診断された副腎神経芽細胞腫の一例
梶原 一紘, 和田 誠司, 井上 桃子, 仲田 由紀, 堀谷 まどか, 加藤 淳子, 土橋 麻美子, 田中 邦治, 種元 智洋, 大浦 訓章, 恩田 威一, 田中 忠夫
東京慈恵会医科大学産婦人科
神経芽細胞腫は1〜3万人に1人に発症する小児期癌である.1歳以上での発症は予後不良のことが多いが1歳未満の発症は予後良好である.出生前で発症したものでは胎児水腫を呈したものや,肝転移を認めるものも報告されている.超音波像は嚢胞状のものやそれに充実成分が混在したり,また羊水過多を来したりと多彩である.今回我々は出生前に副腎発生の神経芽細胞腫と診断された症例を経験したので報告する.症例は32歳,初産婦,妊娠35週2日に胎児腹部腫瘍の精査目的で紹介となった.超音波断層検査の所見では左側腎上極に33.6×38.2×35.7mmnの中輝度の腫瘍を認めた.カラードプラーではhypervascularでMRIでも同様の所見であるため神経芽細胞腫を強く疑った.他臓器に転移や奇形も認めず,羊水量や胎児発育も正常であった.妊娠38週3日に分娩誘発を施行し,3135g男児を経腟分娩で出生した.出生後の精査の結果,副腎神経芽細胞腫と診断され,日齢12で左副腎摘出術を施行した.臨床進行期はstage 1と診断された.その後は生後10ヶ月で皮膚に転移を認め化学療法を施行.現在のところ再発は認めていない.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
210-210, 2011
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