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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
類皮嚢胞腫茎捻転の発症機序
丸茂 元三, 阿部 一也, 小池 ひとみ, 村木 沙知, 間瀬 徳光, 難波 直子, 竹内 沢子, 上田 万莉, 疋田 裕美, 大橋 浩文, 森田 豊, 石田 友彦
板橋中央総合病院産婦人科
卵巣腫瘍茎捻転は,婦人科急性腹症をきたす疾患の一つである.茎捻転の発生機序を推定することは困難な場合が多いが,これまで報告された誘因としては,急激な外力,体位変換,腹圧の変動などがあげられる.今回,当院で経験した類皮嚢胞腫手術例に着目し,茎捻転していない待機手術例と茎捻転を起こした緊急手術例を比較し,術前の画像検査を基に茎捻転を起こしやすい要因について検討を加え,茎捻転の発症機序を考察したい.対象は平成18年1月〜平成22年7月に当院で,類皮嚢胞腫の茎捻転と診断された10例と,平成20年1月〜平成22年8月に当院にて待機手術で,類皮嚢胞腫と診断された63例において,患者の年齢,経産の有無,手術前の画像における卵巣腫瘍の位置と大きさ,臨床経過について比較検討した.茎捻転していた類皮嚢胞腫の10症例は,年齢が18〜59歳(平均33.6歳)で,腫瘍長径は6〜16cm(平均10.3cm),未産婦が8 例(8/10,80%)で,全例ダグラス窩以外の位置で捻転していた.一方,捻転を起こしていない待機手術例63 例は,年齢が18〜77 歳(平均34.3 歳)で,腫瘍長径は4〜17 cm(平均6.9 cm),未産婦は40 例(40/63,63%)で,ダグラス窩にあった症例は50 例(50/63,79%)であった.茎捻転していた類皮嚢胞腫は,全例ダグラス窩以外に存在し,未産婦が80% であったのに対して,捻転を起こしていない類皮嚢胞腫は,79% がダグラス窩にあり,未産婦は63% であった.以上より,類皮嚢胞腫が,ダグラス窩から子宮前方に移動が起こる際に,捻転する可能性が高いと推察された.また,経産婦より未産婦の方が,類皮嚢胞腫はダグラス窩から他の部位に移動し捻転が起こり,発症する傾向が高いと考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
211-211, 2011
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