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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
画像診断により術前から推測された卵巣甲状腺腫の一例
梅澤 幸一, 竹下 茂樹, 櫻井 理奈, 川田 龍太郎, 末永 昭彦, 梁 栄治, 綾部 琢哉
帝京大学産婦人科
【緒言】卵巣甲状腺腫は腫瘍組織の全体が甲状腺組織によって占められているか,肉眼的に甲状腺成分を認めるものとされている.全卵巣腫瘍の0.3%と稀な良性腫瘍である.今回,我々は卵巣甲状腺腫の一例を経験したので報告する.【症例】70歳女性,3回経妊3回経産.約10年前に卵巣腫瘍を指摘され,経過観察されていた.腫瘍の増大傾向と腫瘍マーカー上昇傾向を認めたため当科を紹介受診.超音波検査で肥厚した隔壁を有する径約8cmの多房性右卵巣腫瘍を認め,CT検査で腫瘍内に大小不同の嚢胞を認めた.MRI検査では増強効果のある肥厚した隔壁を認め,内部は多様な信号強度を呈し(stained glass appearance),一部に充実性部分を認めた.腫瘍マーカーはCA19-9:114.7 U/ml,CA-125:53.7 U/ml と軽度上昇していた.甲状腺機能亢進症状は認められなかった.卵巣甲状腺腫または卵巣癌を疑い,単純子宮全摘術と両側付属器切除術を施行した.病理診断では充実性部分に甲状腺組織が認められ嚢胞壁に連続しており,卵巣甲状腺腫の診断であった.また,一部に成熟奇形腫も認められた.術後の血液検査では甲状腺機能異常は認められなかった.【結語】卵巣甲状腺腫は稀な疾患ではあるが,本症例のように画像上で特徴的な所見を有する場合は鑑別診断にいれる必要があると思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
213-213, 2011
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