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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【一般演題】
当院で経験した若年卵黄嚢腫瘍の2例


加茂 亜希, 田村 直顕, 大川 直子, 仲谷 傅生, 堀越 義正, 望月 亜矢子, 平井 久也, 村上 浩雄, 加藤 誠, 宮部 勇樹, 杉原 一廣, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科


【はじめに】胚細胞性腫瘍は全卵巣悪性腫瘍の5%に満たない腫瘍群であり,卵黄嚢腫瘍はその中で約25%を占める稀な疾患である.特に若年層に好発するため,治療に際しては妊孕性温存を考慮するべきである.今回我々は若年女性に発症した卵黄嚢腫瘍の2例を経験したので報告する.【症例1】16歳,未経妊.下腹部膨満感を主訴として近医を受診し,卵巣腫瘍を疑い当院へ紹介となった.多量の腹水と径10cmの左付属器腫瘍を認めた.腫瘍マーカーはα-FP 27,429 ng/mL,CA 125 118 U/mL と高値であり,卵巣胚細胞性腫瘍が疑われた.【症例2】24 歳,未経妊.下腹部膨満感を主訴として近医を受診し,卵巣腫瘍を認め,当院へ紹介となった.大量の腹水と左付属器腫瘤に径8 cm の多房性腫瘍,右付属器に径4 cm の単房性腫瘤を認めた.腫瘍マーカーはα-FP 4,365 ng/mL,CA 125 432U/mL,hCG(EIA)180 ng/mL と高値を認め,卵巣胚細胞性腫瘍が疑われた.症例1,2 ともに,患側付属器切除術を施行し,病理組織にてyolk sac tumorIc 期と診断した.術後補助化学療法としてBEP(ブレオマイシン,エトポシド,シスプラチン)療法を3 クール施行した.同治療期間中,妊孕性温存を考慮しGnRHa 療法を併用した.現在,再発を疑う所見を認めないが,月経の再来を認めない.【まとめ】両症例も手術・化学療法を完遂することができ,再発を認めないものの,治療後より無月経を呈している.BEP 療法による卵巣機能障害の可能性も考えられ,卵巣機能・妊孕性という観点からもフォローアップを要する.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 218-218, 2011


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