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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
卵管采より発生した癌肉腫の1例
竹元 葉, 太田 剛志, 崎尾 昇子, 藤岡 志水, 石黒 共人, 氏平 崇文, 太田 武雄, 長野 宏史, 荻島 大貴
順天堂練馬病院産婦人科
74歳女性.2経産.平成22年1月,下腹部痛を主訴に当院受診した.画像上,造影効果を伴った骨盤内を占拠する約18cmの充実性腫瘍で,PETにてSUVmax:5の集積があり,右卵巣由来の悪性腫瘍を疑った.右胸水貯留があり,胸水細胞診はclassVで,漿液性腺癌を疑う細胞像であった.腫瘍マーカーはCA125:3470U/ml,CA 19-9:143.4 U/ml,CEA:3.2 ng/ml であった.以上より,卵巣癌IV 期と考えた.CT にて左大腿静脈にDVT および両肺動脈にPTE を認めた.ヘパリンナトリウムによる抗凝固療法を施行し,TC による術前化学療法を施行した.TCを6 コース施行後,画像上,卵巣腫瘍は約15 cm と残存するものの,PET の集積は消失し,CA 125 は76.3 U/mlまで低下した.胸水は消失し,DVT,PTE も画像上消失した.平成22 年8 月,腫瘍減量手術を施行した.腫瘍は右卵管采から発生していた.骨盤内および腹腔内に播種はなく,TAH およびBSO を施行し終了した.胃がん術後であり,大網は確認できなかった.病理組織学的に本腫瘍は,軟骨基質が多結節状に形成され,軟骨細胞は壊死・消失している他,強い核異形を有し,また多核の軟骨細胞が認められ,軟骨肉腫の所見を呈していた.癌の成分が確認できなかったが,胸水より漿液性腺癌の像を認めていたこと,腫瘍発生部位が卵管采であることより,軟骨肉腫成分を伴う異所性癌肉腫で,化学療法によって癌の成分のみが消失したものと考えられた.術後補助化学療法を3 コース追加し,現在のところ再発なく外来経過観察中である.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
219-219, 2011
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