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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
胎盤血管腫の一例
山本 智子, 竹内 久彌, 上里 忠司, 藤田 寿太郎
医療法人愛和会愛和病院産婦人科
【緒言】胎盤血管腫は,病理組織学的に検索された胎盤の約1%に認められるとされるが,分娩前に画像診断される頻度は8000〜50000分娩に1例と極めて稀である.腫瘍径が5cm以上となると,羊水過多症による切迫早産,胎児には腫瘍内シャントによる心不全や胎児水腫などの合併症をきたすことが知られている.今回,我々は妊娠35週に胎盤血管腫と診断し,羊水過多症合併のため妊娠37週に帝王切開分娩にて健児を得た1例を経験したので報告する.【症例】41歳,1経妊1経産.家族歴・既往歴に特記すべきことなし.妊娠34週の定期健診にて胎盤腫瘤が疑われ超音波外来へ紹介となった.妊娠35週の超音波検査で,正常位胎盤の辺縁に臍帯を含み直径8cmを超える充実性腫瘤が認められた.腫瘤内部構造は胎盤実質部類似で,カラードップラーで内部に豊富な血流がみられることから胎盤血管腫が疑われた.胎児発育に問題なく,胎児心不全徴候も見られないことから,AFI30cmの羊水過多が認められたものの経過観察とした.その後胎児・胎盤に異常経過は見られなかったが,羊水過多の進行が見られたため,破水による臍帯脱出などのリスクを考慮し,37週0日に帝王切開分娩とした.児は2542gの女児で明らかな奇形などは認めなかったものの,日齢0日に点状出血が出現し,血小板9.5×104と低値のためNICU へ搬送となったが,その後は順調に経過している.娩出胎盤の病理組織検査結果はChorangioma で,術前診断と一致していた.【結語】直径8 cm を超える大きな胎盤血管腫を妊娠中に発見したが,合併症の発生に注意しながら管理にあたり,早期に対処することで二次産科施設での分娩が可能であったので報告した.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
226-226, 2011
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