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<< 学会誌へ戻る 胎盤血管腫は胎盤に発生する非絨毛性の良性腫瘍であり，その発生頻度は約1％と報告されている．大部分は産科的合併症なく経過するが，腫瘍が大きくなると羊水過多，切迫早産，胎児水腫，胎盤早期剥離などの周産期異常の原因となる．今回我々は，胎盤血管腫のため羊水過多症・早産となり，児に全身浮腫・うっ血性心不全を認めた1例を経験したので報告する．症例は37歳（4経妊3経産；正常分娩1回，帝王切開2回）で既往歴・家族歴に特記事項なし．前医で妊娠24週0日に急性羊水過多と胎盤腫瘍を認めたため，妊娠24週4日に当科紹介受診となった．初診時の超音波ではEFW 870 g，AFI 40.2，胎盤内に5.9×5.9 cm 大の腫瘤を認めた．児には胎児水腫などの異常所見は認めなかった．同日施行した単純MRI では胎盤血管腫が考えられ，そのまま入院管理となった．入院後，切迫早産兆候を認めたため塩酸リトドリンの投与と週約2 回の羊水穿刺（約1000 ml/回）を行い経過観察していたが，妊娠27 週5 日に自然破水・陣痛発来したため緊急帝王切開を施行した．出生女児は1198 g でApgar score 7/9（1/5 分値）であり，NICU に入院したが，全身浮腫・うっ血性心不全を呈していた．胎盤総重量は550 g で，その一部に境界明瞭な11×7×5.5 cm の充実性の腫瘍を認めた．臍帯は腫瘍直下に付着していた．病理検査では毛細血管腫と診断された．胎盤血管腫は，本症例のように母児に重篤な周産期合併症を引き起こす可能性があり，特に長径が5 cm を越えるものはその可能性が高くなるという．胎盤血管腫は決して稀な疾患ではないため，妊娠初期から胎盤の形態にも十分な注意を払い，大きなものは羊水過多症や胎児水腫などの合併症に留意する必要がある． 関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 226-226, 2011 |
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