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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
急性外陰潰瘍(Lipschutz潰瘍)5例の経験から見えてきた早期診断のポイント
湊口 美紀, 難波 聡, 新澤 麗, 菊地 真理子, 岡垣 竜吾, 梶原 健, 板倉 敦夫, 石原 理
埼玉医科大学産婦人科
Lipschutz潰瘍は若年女性に発症する急性外陰潰瘍の一種である.明確な診断基準がないため,外陰ヘルペスやBehchet病を否定して初めて診断に到達する場合が多い.5症例の臨床像から早期診断のポイントを考察した.【症例1】25歳.発熱・外陰部痛を主訴に前医受診.外陰ヘルペスの診断で抗ウイルス薬経口投与開始されるも,軽快傾向なく当院紹介.HSV抗原陰性.抗ウイルス薬が中止され約1週間で自然軽快した.【症例2】23歳.排尿時痛・外陰部違和感を主訴に前医受診.抗ウイルス薬開始されるも改善なく当院紹介.HSV抗原陰性.約1週間で自然軽快.【症例3】26歳.外陰部痛を主訴に前医受診.抗ウイルス薬経口投与開始されるも,症状改善なく当院紹介.HSV抗原陰性.約1週間で自然軽快.【症例4】14歳,性交経験なし.上気道炎発症と同時に外陰部痛が出現し前医受診.抗ウイルス薬開始されるも改善しないため当科受診.HSV抗原検査施行せず経過観察のみで軽快.【症例5】17歳,性交経験なし.39℃の発熱後外陰部痛・排尿困難が出現し泌尿器科受診.外陰部潰瘍を認め当科紹介受診.HSV抗原陰性.約1週間後で自然軽快.【考察】若年女性の急性外陰潰瘍は通常まず外陰ヘルペスが疑われ,HSV抗原等の検査結果を待たずに抗ウイルス薬投与が開始されることが多い.3日以上投与しても軽快傾向を示さない場合にはLipschutz潰瘍の可能性が高い.性交歴がなければヘルペスを否定でき,Lipschutz潰瘍は感冒症状に続発して起こることが多いことから,詳細な問診が必要である.潰瘍の形状のみで診断に至ることは困難である.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
230-230, 2011
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