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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【一般演題】
術前診断が可能であった卵管,卵管采の閉鎖孔ヘルニアの一例


栗原 史, 山中 政人, 東上 加波, 鶴岡 みずほ, 大本 和美, 島 絵美里, 八重樫 優子, 小林 康祐, 宇田川 秀雄
総合病院国保旭中央病院産婦人科


術前診断が可能であった卵管,卵管采の閉鎖孔ヘルニアの一例閉鎖孔ヘルニアに嵌頓するものは小腸が主であるが,付属器が嵌頓した症例は数例の報告のみである.今回,私たちは術前に造影CTにて診断し得た卵管,卵管采の閉鎖孔ヘルニアの一例を経験したので報告する.症例は43歳の未経産の女性で,右鼠径部痛と下腹部痛を訴え近医外科を受診した.単純CTにて卵管水腫を疑ったために当院産婦人科に搬送となった.内診上子宮・付属器には圧痛を認めず,経腟超音波でも異常所見を認めなかった.しかし,前医の単純CTを検討すると右恥骨筋と外閉鎖筋の間に3cm大の腫瘤が認められ当院で造影CTを施行することとした.当該の腫瘤は腸管との連続性はなく,子宮からの連続しており閉鎖孔に嵌頓した右卵管であると考えられた.右付属器の閉鎖孔ヘルニアの診断で当院外科医にて緊急手術となった.手術所見では右卵管・卵管采および卵管間膜の一部が閉鎖孔より脱出していた.血流障害はなかったため内容物を還納しdirect kugel patch法で修復した.術後経過は良好で問題なく退院した.経産婦,高齢女性において,消化管の閉鎖孔ヘルニアや小児での卵巣鼠径ヘルニアはまれな病態ではない.しかし,本症例のように未経産婦で閉鎖孔に付属器が陥頓することはきわめて稀であるため報告した.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 231-231, 2011


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