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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
術前漿膜下筋腫との鑑別に苦慮した神経線維腫症1型合併小腸gastrointestinal stromal tumorの1例
尾崎 理恵, 寺尾 泰久, 竹田 純, 氏平 由紀, 今井 幸, 楠木 総司, 木村 美葵, 金田 容秀, 須賀 新, 加藤 聖子, 竹田 省
順天堂大学産婦人科
【緒言】卵巣腫瘍や漿膜下筋腫は小腸腫瘍との鑑別困難な場合がある.今回我々は,神経線維腫症1型(neurofibroma type 1:NF1)に合併し術前診断に苦慮した小腸gastrointestinal stromal tumor(GIST)の症例を経験したので文献的考察を加え報告する.【症例】41歳女性.2経妊2経産.20歳よりNF1と診断されていた.下腹部違和感を主訴に前医受診.骨盤内腫瘍を認め卵巣腫瘍疑いで当院紹介.初診時,子宮は超手拳大で前壁大の可動性不良固い腫瘍を触知.経腟超音波検査で子宮前面に8cm大の充実成分と嚢胞成分の混在する腫瘍を認めた.両側卵巣は正常大であった.子宮頸部・内膜細胞診は共にclass2.腫瘍マーカーの上昇なし.骨盤MRIでは子宮前壁に充実成分に造影効果のもつ8cm大の腫瘍を認め,腫瘍と子宮との間に血管のflow voidを認めた.PET―CTでは腫瘍に一致してFDGの集積を認めた.以上より,嚢胞性変性を伴う子宮筋腫あるいは子宮平滑筋肉腫疑いで手術の方針となった.手術時,子宮と両側付属器は正常であり,子宮前面に位置していた10cm大の腫瘍は空腸壁より発生していた.腫瘍を含む小腸部分切除施行した.術後経過良好であり,術後15日目に退院.病理結果はGIST,中等〜高リスクと診断された.現在外科外来にて経過観察中である.【結語】NF1型とGISTの相関は高く,NF1患者でのGIST発症は一般集団と比較し150倍程度高いとの報告がある.骨盤内腫瘍の鑑別診断として,特にNF1に合併した腫瘍には小腸GISTを考える必要があると思われる.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
233-233, 2011
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