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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
東京下町には無検診の婦人科進行がん患者が多い
熊耳 敦子1), 佐藤 孝道1), 石田 友彦2)
明理会中央総合病院婦人科1), 板橋中央総合病院産婦人科2)
【目的】当院婦人科は2010年7月に新設された.東京都北区東十条という立地条件のためか,一般婦人科受診者の中で閉経期後の患者の占める割合が高い.当院婦人科における閉経期後の患者の特徴を後方視学的に調査した.【方法】2010年7月1日から2011年1月31日までの7ヶ月間に,当院婦人科を初診した患者のうち45歳以上の患者について,受診目的,子宮がん検診歴の有無,診断,治療内容等について調査した.【結果】1)45歳以上の患者120例が受診した.2)120例中,不正出血または帯下異常の自覚症状にて受診したのは49例(40.8%)であった.3)うち7例(全体の5.8%)ががんと診断された.4)がんと診断された7例はいずれも最近(少なくとも2年以内に)子宮がん検診を受けておらず,自覚症状が出現して初めて受診していた.5)年齢層別にみると症状があって外来を受診したものの割合は年齢と共に増加する傾向が見られた.6)年齢別にみると,年齢が高いほど子宮癌検診を受けていないものの頻度が高かった.7)がんと診断されたものの頻度は高齢者の方が高く70歳以上で受診した35例中4例(11.4%)はがんであった.【考察】当院に70歳以上で受診した患者のうち11.4%にがんがあった.この頻度は45歳以上でも5.8%であった.またがんと診断された例は全て最近検診は受けておらず,症状があって受診していた.この数値は本研究者らの過去の経験と比較するとかなり高く,この地域で特に高齢者のがん検診が有効に実施されていないことを示唆するものと考えられた.こうした地域でがん検診の実績を上げるには,行政からの積極的な働きかけと同時に,婦人科だけではなく他診療科の協力や病診連携も重要と考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
234-234, 2011
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