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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
腟入口部腫瘤が悪性黒色腫であった一例
山中 弘之1), 大熊 克彰1), 横道 憲幸1), 渡部 真梨1), 吉岡 範人2), 鈴木 直2), 木口 一成2), 石塚 文平2)
川崎市立多摩病院産婦人科1), 聖マリアンナ医科大学病院産婦人科2)
【緒言】腟原発悪性黒色腫は我が国でも極めてまれな疾患である.早期からリンパ行性または血行性転移を来たし予後は極めて不良である.今回我々は腟入口に発生した腫瘤が悪性黒色腫であった一例を経験したので報告する.【症例】79歳,1経産,主訴は半年前からの子宮下垂感であった.家族歴と既往歴に特記することはなし.内診では子宮は委縮し両側付属器は触知しなかった.膣入口部に6―7時方向から発生する母指頭大の表面が易出血性の腫瘤を認めた.腟・頚管細胞診はNILM,腫瘤の擦過細胞診では悪性細胞を認めたが組織型の同定は困難であった.血液検査では異常は無く,腫瘍マーカーではNSEがやや高値でであった.骨盤MRIでは腟壁浸潤や鼠径リンパ節転移は認められなかった.胸腹部CTでも遠隔転移は認められなかった.以上から早期腟癌の診断で腟壁をある程度含めた腫瘤切除術を施行した.【病理】捺印細胞診ではメラニン顆粒を貪食した組織球を背景に,核内細胞封入体をもつ悪性細胞を認めた.組織診では紡錘形〜多角形細胞の充実性増殖がみられ,一部の腫瘍細胞は胞体内にメラニン顆粒を有していた.免疫組織化学的には腫瘍細胞はHMB―45が陽性,S―100蛋白が陽性であった.以上から腟壁原発の悪性黒色腫と診断した.【考察】Petruらの報告では腟原発悪性黒色腫の5年生存率は早期でも40%以下であり,非常に予後不良である.今後は鼠径リンパ節廓清術と化学療法の追加を予定している.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
235-235, 2011
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