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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
当院における産科関連ICU入室症例の検討
茂木 絵美, 望月 善子, 庄田 亜紀子, 多田 和美, 大島 教子, 渡辺 博, 深澤 一雄, 稲葉 憲之
獨協医科大学産婦人科
近年,周産期医療体制が大きな社会問題となっている.当院は総合周産期母子医療センターを有し,ハイリスク妊娠症例,母体搬送症例を受け入れる拠点病院となっており,重症救急産科症例も少なくない.重症救急産科症例の臨床的特徴を明らかにすることを目的に,2001年〜2010年の10年間の産科関連ICU入室症例について後方視的に検討した.この10年間で8953例の分娩を取り扱い,そのうちICU入室症例は49例(0.5%)であった.入室理由は産科合併症が32例(65.3%),他科合併症が17例(34.7%)であった.産科合併症の内訳では常位胎盤早期剥離6例,前置胎盤3例,癒着胎盤1例,弛緩出血3例,産道裂傷2例,子宮破裂1例,帝王切開後出血2例,子癇4例,HELLP症候群2例,肺水腫(PIHなど)4例,敗血症3例,異所性妊娠1例であり,入室時の病態は出血性ショックが32例中19例(59.4%)と最多であった.他科合併症の内訳は中枢神経系疾患3例,循環器疾患5例,肝疾患1例,外科疾患2例,内分泌疾患1例,交通外傷2例,アナフィラキシーショック3例であった.緊急母体搬送後にICU入室となった症例が24例(49.0%)であった.妊娠終了後にICU入室となった症例は46例,妊娠継続例は3例であった.転帰は生存44例(89.8%),死亡5例(10.2%)であった.周産期母子医療センターが母子の救命という機能を発揮するためにはICUとの密接な連携体制が重要である.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
236-236, 2011
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