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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【一般演題】
性器出血を認めてから4週間後に常位胎盤早期剥離と判明した一例


矢野 亮, 鎌田 美保, 宇賀神 奈月, 川瀬 史愛
船橋二和病院産婦人科


【症例】29歳0経妊,妊娠初期より当院管理.妊娠34週4日,中等量の性器出血,腹痛を主訴に来院.常位胎盤早期剥離を疑ったが,来院時性器出血は消退傾向であり,経腹超音波検査にて胎盤肥厚や血腫像は認めなかった.血液検査ではWBC 8000/μl,Hb 10.1 g/dl,PLT 32.8×104/μl,CRP 1.22 mg/dl,AT 3 97% と軽度貧血,炎症反応を示すのみであった.CTG ではreassuring であり,5 分毎の子宮収縮を認め,頸管粘液検査では顆粒球エラスターゼ陽性を示したため切迫早産と診断した.入院管理とし,塩酸リトドリン点滴,抗生剤投与,膣洗浄を開始した.妊娠34 週6 日,再び凝血塊を伴う性器出血を認めた.血液検査ではWBC 6900/μl,PLT 31.1×104/μl,Hb 8.6 g/dl,AT 3 84.1% と貧血の進行を示す以外に異常なく,CTG 上reassuring であったが,連続モニタリングを行い厳重に経過観察した.その後性器出血はみられず,児のwell being 評価,定期的な血液検査,超音波検査を行い入院継続した.経過良好であったため,塩酸リトドリンを漸減し妊娠35 週3 日に内服薬に変更した.妊娠37 週1 日に退院とし,以後外来にて週2 回の妊婦健診管理を行った.妊娠38 週4 日の妊婦健診時CTG にて約6 分間続くprolongeddeceleration を認め,NRFS と判断し緊急帝王切開を施行した.女児,2525 g,Apgar score 1 分値8 点,5分値9 点,UApH 7.321,胎盤辺縁に30% を占める血腫を認め,常位胎盤早期剥離と診断した.胎盤病理所見では新鮮な梗塞部を主体とし,一部小範囲に陳旧性の梗塞部を認めた.臨床症状,病理学的所見から,妊娠34 週時に見られた性器出血は小範囲の常位胎盤早期剥離によるものであり,剥離が進行した結果NRFS を呈したと推察された.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 237-237, 2011


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