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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【一般演題】
妊娠中に多剤耐性緑膿菌による腎盂腎炎を発症した一例


平田 豪, 石原 瑞葉, 上田 麗子, 佐藤 団, 竹島 和美, 笠井 絢子, 高島 邦僚, 茶木 修, 中山 昌樹
横浜労災病院産婦人科


【緒言】多剤耐性緑膿菌(MDRP)とは,通常,カルバペネム系,フルオロキノロン系,抗緑膿菌用アミノ配糖体系の3系統の抗菌薬に対し「全て耐性」と判定された緑膿菌であり,MDRP感染症を発症した場合,確立した治療法がない.今回我々は妊娠29週にMDRPによる急性腎盂腎炎を発症した症例を経験したので報告する.【症例】37歳2回経妊2回経産.妊娠28週5日子宮収縮,腰痛,尿混濁みとめ前医入院となった.塩酸リドドリン,セフェム系抗生物質投与されるも改善なく,妊娠29週4日当院母体搬送となった.高度の右水腎症をみとめたが,症状は落ち着いており経過観察とした.妊娠30週1日に入院時の尿培養でMDRPが検出されたことが判明.妊娠30日6日に発熱を認め,CAZ2g/dayを開始したが,無効であり,妊娠31週2日AMK400mg+AZT4g/dayを開始.しかし,感染のコントロールが付かず,terminationも考慮したが,右水腎症高度にて,妊娠31週3日膀胱鏡で観察下に尿管ステント挿入.処置時に尿管結石が嵌頓していたことがわかり,腎盂腎炎と水腎症の原因は尿路結石によるものだったと考えた.翌日妊娠31週4日すみやかに解熱し,妊娠33週5日退院となった.【まとめ】MDRPによる急性腎盂腎炎の一例を経験した.本症例では物理的ドレナージが奏功したが,一般的にはMDRP感染症に対しての確立された治療はなく,蔓延防止に努めることが重要である.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 239-239, 2011


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