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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))

【一般演題】
結核合併妊娠の1例


寺岡 香里1), 木村 博昭1), 松岡 歩1), 江口 修1), 神山 正明1), 高橋 直樹2), 篠崎 俊秀3)
国保君津中央病院産婦人科1), 国保君津中央病院耳鼻咽頭科2), 国保君津中央病院呼吸器内科3)


【はじめに】肺結核は,妊娠可能年代層の新規罹患率より妊婦5000人に1人の頻度で発症することが推定される.結核は,母体ならびに胎児の生命の危険,院内感染の見地から,周産期において重要な感染の一つであり,今回われわれは,分娩直前に肺結核と診断された症例を経験したので文献的考察を加え報告する.【症例】患者は35歳.未経妊未経産.33週頃より喉の痛みあり,前医にて抗生剤内服で経過を見ていたが,咳嗽・咽頭通が持続するため37週当院耳鼻咽頭科受診し,喉頭蓋炎の診断にて入院管理となった.咽頭培養よりH.influenzae検出のため,第3世代セフェム系抗生物質投与し炎症所見の改善を認めるも喉頭蓋の腫脹は改善せず,39週喉頭鏡による生検を行ったところ結核菌陽性となった.胸部レントゲンでも浸潤影を認め,喉頭結核・肺結核の診断となった.翌日陣痛発来し,産科病棟の陰圧室にて経膣分娩となった.出生児は2558 g,Apgar score 9/9 で個室管理となった.卵膜,羊水などの検査で先天性結核は否定された.母体は結核病棟で抗結核薬による治療開始となり,児も予防的にINH の投与を行った.【考察】本症例では分娩直前に結核との診断がついたために,分娩に際して感染対策ができた.妊婦の結核の早期発見は,胎児への影響や院内感染防止のために重要である.しかし,発生頻度が稀であるために診断が遅れやすく,早期発見には意識し疑うことが大切であり,2 週間以上続く咳,痰,発熱では本症を疑う必要がある.また,分娩に際しては羊水培養や胎盤の病理検査など先天性結核の検索とともに児への二次感染の予防を講じ,専門科との密接な連携が重要であると考える.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(2) 239-239, 2011


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