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第121回学術集会(平成23年6月12日(日))
【一般演題】
救命し得た劇症型A群β溶連菌感染症の2症例
若尾 聡士1), 寺本 勝寛1), 東 裕福1), 坂本 育子1), 白石 眞貴1), 梶山 明日香2), 薬袋 牧子2), 須波 怜2), 内田 雄三2), 永井 聖一郎2), 池上 淳1)
山梨県立中央病院婦人科1), 山梨県立中央病院総合周産期母子医療センター2)
【緒言】劇症型A群β溶連菌感染症は致死率33%―45%の重篤な疾患である.今回,A群β溶連菌による骨盤内感染症の2症例を経験したため報告する.【症例1】14歳,未経妊,性交歴なし.40℃の発熱と腰痛のため前医を受診し,症状増悪のため当院紹介受診となった.来院時,発熱持続と不穏,嘔気,下腹部圧痛を認め,MRIで子宮周囲の腹水貯留,血液検査でCRP 37.4mg/dl,腎機能障害,CK上昇を認めた.入院3日目にはCK 15900IU/lまで増悪,前医の尿培養よりA群β溶連菌が検出され,同菌による汎発性腹膜炎と壊死性筋膜炎の併発を疑い開腹ドレナージ術を施行し,術後,血漿交換,ICU管理を行い救命し得た.【症例2】30歳,1経妊1経産.月経開始後に39℃の発熱を認め,前医受診し治療するも改善せず当院受診となった.来院時,血圧70/40mmHgとショック状態で,下腹部圧痛と側背部の紅斑を認めた.血液検査では35.0mg/dlと腎機能障害を認め,MRIでDouglas窩に腹水貯留あり,汎発性腹膜炎の診断で開腹ドレナージ術を施行した.術中腹水の細菌培養よりA群β溶連菌が検出された.術後,ICUでの集学的治療により治癒した.【考察】劇症型A群β溶連菌感染症は発熱,筋肉痛,下痢などインフルエンザ様の初期症状で発症するが,急激な経過で多臓器不全,ショック状態へ進行する.壊死性筋膜炎,腎障害,DICなどが急激に発症することがあるため,骨盤内感染症でも積極的に同疾病を疑い開腹ドレナージ術を含めた集学的治療を行う必要がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(2)
241-241, 2011
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