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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【ワークショップ3】
再発卵巣がん治療(手術療法)について
恩田 貴志
国立がん研究センター婦人腫瘍科
卵巣癌に対する腫瘍縮小手術の意義として,腫瘍量の減量,腫瘍による圧迫などの症状の緩和,薬剤に対する感受性の向上,薬剤耐性獲得の可能性の減少などの効果が挙げられる.進行卵巣癌の初回治療においては,術前化学療法の有用性について現在検討されており,最適な手術時期に関しては未確定であるが,腫瘍縮小手術(debulking surgery)の有用性に関しては多くの報告により確認されており,腫瘍縮小手術を行うことは標準と考えられている.一方,再発治療においても,腫瘍縮小手術の意義としては,初回治療と同様の効果が期待できるはずである.実際,再発時の腫瘍縮小手術(secondary debulking surgery,SDS)に関しても,これまでに有用性を示唆する多くの報告が見られるが,大部分が症例数の少ない,後方視的検討であり,症例選択基準や術後化学療法なども様々で,適応規準や,手術目標,術後の化学療法などについて,統一した見解は得られていない.卵巣がん治療ガイドライン2010年版においても,「再発時期(化学療法感受性と相関),初回手術の状況,再発部位,病変の個数およびPS(切除可能性と相関)などを総合的に判断して,慎重にSDSの適応を決定すべきである.」「二次化学療法とSDSのどちらを選択すべきかのエビデンスはなく,SDSの実地臨床でのルーチン化は推奨できない.」とされている.しかしながら,再発卵巣癌症例の全例ではないものの,選択された症例の中にはSDSにより長期生存が期待される症例が存在することは,過去の報告からほぼ明らかと考えられる.ただし,それらの症例の成績が化学療法単独治療と比較して良好であるかを結論するためには,適切に計画された第III相比較試験が必要と考えられる.
近年,SDSの意義を検討するためのmeta-analysisなどが報告され,SDSの適応規準の確認の試験がAGO(Arbeitsgemeinschaft Gyn?kologische Onkologie)で行われ,有効性確認のためのprospective試験がAGOやGOG(Gynecologic Oncology Group)などの臨床試験グループで行われている.
再発卵巣癌に対するSDSに関して,これまでの報告の概説を行い,SDSの適応,手術の目標などにつき解説を行う予定である.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
289-289, 2011
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