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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
帝王切開時の弛緩出血に対しSquare suture施行後,腹腔鏡下で子宮圧迫縫合糸を抜糸し子宮を温存し得た1症例
橋田 修, 林 真理子, 古野 敦子, 斎藤 圭介, 高安 義弘, 石川 雅彦
大和市立病院産婦人科
【緒言】弛緩出血は全分娩の5%にみられ,子宮収縮剤や双手圧迫でも出血が持続する場合,治療に難渋する.また子宮を温存し得ても止血術による合併症がさらに頭を悩ませる.今回我々は帝王切開時の弛緩出血に対しSquare suture(変法)施行後,子宮腔内癒着予防のため腹腔鏡下に子宮圧迫縫合糸を抜糸し,合併症なく子宮を温存し得た1症例を経験したので報告する.【症例】38歳,0回経妊0回経産.人工授精にて妊娠.妊娠経過は順調であった.妊娠41週4日,過期産予防のため誘発目的に入院.翌日から,PGF2αにて陣痛誘発開始するもsevere variable deceleration出現し,胎児機能不全の診断で緊急帝王切開となる.児は2952gの女児,Apgar Score 8/9点.子宮修復後も子宮収縮不良のため子宮収縮剤投与しながら双手圧迫施行するも子宮収縮改善せず出血が持続.出血量2000mlを超え,Hb7.0g/dlとなった時点でSquare suture施行し,出血の軽減を認めた.術中出血量2462ml(羊水込み),輸血RCC 4U,FFP4U.術後6日目,子宮腔内癒着予防のため腹腔鏡下にて子宮圧迫縫合糸を抜糸.術後10日目,母児ともに退院.術後3カ月目,子宮鏡にて子宮腔内を観察したが異常所見は認めなかった.【考察】今回帝王切開時の弛緩出血に対してSquare sutureが有効であり,また子宮腔内癒着予防に腹腔鏡下による縫合糸の抜糸術が効果的であった1症例を経験した.Square sutureは子宮を温存し得ても,前後子宮壁を貫く縫合糸による子宮腔内の癒着による膿瘍腔の形成,不妊症が問題となる.しかし,早期に腹腔鏡下にて抜糸術を行えば,容易かつ低侵襲にそれらの予防が可能であることが今回示唆された.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
295-295, 2011
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