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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
当院における若年症例の外陰部腫瘍手術に対する新しい取り組み
横田 めぐみ1, 冨永 英一郎1, 清水 瑠加2, 横山 友明3, 野村 弘行1, 阪埜 浩司1, 貴志 和生2, 青木 大輔1, 吉村 泰典1
慶應義塾大学医学部産婦人科1, 慶應義塾大学医学部形成外科2, 慶應義塾大学医学部皮膚科3
【目的】外陰癌ならびに外陰部に発生する乳房外Paget病の好発年齢は高齢であり,閉経前の症例はまれである.外陰部腫瘍が腟におよぶ場合には腟壁に対する治療も必要となるものの,若年症例では腟の機能温存が重要視される傾向にある.今回われわれはいずれも40歳代に発症した外陰部腫瘍に対して,広汎外陰切除術と腟壁摘出術を行い,形成外科によって有茎性皮弁を用いた植皮術を施行した2症例を報告する.【症例1】45歳,外陰癌3期に対して広汎外陰切除術,腟壁部分切除術,両側鼡径リンパ節郭清術,有茎性皮弁を用いた植皮術を施行した.病理検査所見は扁平上皮癌であった.皮弁には会陰動脈の皮膚穿通枝を茎とした,知覚神経を含めた両側陰部大腿臀溝双葉皮弁を用いて血流と知覚神経の温存を試みた.追加治療として放射線照射を行った.【症例2】42歳,乳房外Paget病に対して広汎外陰切除術,腟壁全摘出術,肛門皮膚粘膜切除術,人工肛門造設術,有茎性皮弁を用いた植皮術を施行した.皮弁は症例1と同様である.本症例では腟壁を全摘出しており,皮弁断端の腟側は円蓋部分において縫合した.子宮摘出も推奨したが,妊孕能温存,腟機能温存の希望が強く本術式に至った.追加治療はせず,術後経過は良好である.【考察】今回,血流と知覚神経温存が同時に可能となる皮弁を用いて,外陰部と腟壁の欠損に対して植皮術を試みた.症例2では従来の腟壁が完全に欠損した状態であり,術後の腟機能温存が危惧されているが,知覚も十分に保たれている.術後からの経過日数が短期であり,性交機能の確認には至っていない.今後は再発とともに腟機能についても経過観察する予定である.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
297-297, 2011
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