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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
胎児水腫を呈した胎児ガラクトシアリドーシスの一例
岡崎 有香1, 漆川 邦1, 小宮 春奈1, 兒玉 理1, 関坂 みゆき2, 中尾 砂理1, 八木 洋也2, 中村 佳子1, 藤木 豊1
水戸済生会総合病院産婦人科1, 筑波大学附属病院産婦人科2
【緒言】近年,原因不明されてきた非免疫性胎児水腫の中に代謝性疾患が比較的多く存在することが知られ,中でもガラクトシアリドーシス等ライソゾーム病は胎児水腫を引き起こす代謝性疾患として注目されている.今回我々は妊娠23週より著明な胎児水腫を呈し,出生後ガラクトシアリドーシスと診断された一例を経験したので報告する.【症例】母は38歳1経妊1経産婦.家族歴なし.第1子は1歳現在健康である.今回自然妊娠.妊娠23週6日の妊婦健診時胎児皮下水腫と胸腹水を認め胎児水腫と診断され,妊娠24週0日当院へ母体搬送となった.胎児胸水は減少したが腹水と皮下水腫が進行したため妊娠25週0日胎児腹水穿刺および羊水染色体検査施行.胎児腹水の性状は浸出性であり,染色体は正常核型であった.胎児には心奇形その他の構造奇形も認められず,また母体感染症,不規則抗体は陰性であった.Well-beingのため慎重に管理されていたが,2回の多量の腹水除去後も胎児水腫が進行し,妊娠30週4日帝王切開分娩となった.児は2453gの女児で,生後すぐに気管内挿管し人工呼吸管理となった.出生当日の新生児末梢血リンパ球に空胞を認め代謝性疾患を疑い,骨髄穿刺および皮膚生検施行.酵素活性の測定結果からガラクトシアリドーシスと診断された.慢性肺疾患,肝機能障害などに対し対症的に管理されていたが,感染を契機に全身浮腫および呼吸不全が悪化し日齢150に死亡した.【結語】代謝性疾患はまれであるが,一部は比較的高頻度に胎児水腫を呈する.原因不明の胎児水腫に対して代謝性疾患を念頭に置くことは,早期診断や家族への適切なカウンセリングを行うために重要と考える.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
299-299, 2011
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