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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
胎児超音波にて食道閉鎖と診断された先天性喉頭閉鎖症合併の1例
吉田 惠美子, 祖川 侑子, 牧野 真太郎, 久保田 絵美, 稲垣 徹訓, 依藤 崇志, 輿石 太郎, 杉村 基, 竹田 省
順天堂大学産婦人科
【緒言】先天性喉頭閉鎖症は非常に稀な疾患であり,本邦報告例も少ない.約半数の症例において食道閉鎖,気管支食道瘻,気管食道瘻といった消化管奇形の他,中枢神経系奇形,泌尿生殖器奇形,骨格系奇形などの重度奇形を合併する.胎児期診断としては,超音波所見として肺の肥大とエコー輝度の上昇,横隔膜の逆反,気管の拡張,多量の腹水貯留などがあるが,その診断は困難とされる.今回我々は,妊娠経過中に食道閉鎖と著明な羊水過多を認め,出生後に先天性喉頭閉鎖症と診断された症例を経験したので報告する.【症例】40歳1経妊1経産《既往歴》32歳 開腹子宮筋腫核出術施行,《現病歴》妊娠28週頃より急激な羊水過多を認め,前医にて食道閉鎖が疑われたため妊娠33週3日で当科入院となった.胎児超音波所見上は胃胞が確認できず食道閉鎖と診断し,AFI45前後の著明な羊水過多症を認め,羊水吸引を行い管理した.妊娠34週5日前期破水のため,緊急帝王切開術施行.Apgar score 0/0点にて出生直後から小児外科医師により蘇生開始されるも反応不良であった.声帯部に偽膜様組織あり気管挿管できず,気管切開施行するも換気不可能,蘇生困難にて児の死亡確認となった.病理解剖ではgloss C型の食道閉鎖と喉頭閉鎖および気管低形成を認めた.【結語】本症例では胎児超音波検査上喉頭閉鎖の診断には至らず,出生後の蘇生困難を極めた.診断困難であった理由としては,下部食道と気管の交通があり,喉頭閉鎖に特徴的な超音波上所見を認めなかったことが考えられる.食道閉鎖を疑う場合,喉頭閉鎖の合併も考慮すべきであると思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
302-302, 2011
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