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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
妊娠中に血球貪食症候群を発症した一例
田中 亜由子, 鈴木 真, 鈴木 陽介, 白石 知己, 松浦 拓人, 伊豆田 千夏, 佐藤 茉弥, 高木 清考, 高矢 寿光, 可世木 華子, 古澤 嘉明, 清水 幸子
亀田総合病院産婦人科
【緒言】妊娠中に血球貪食症候群を診断・治療したという報告は散見するが,発熱・全身倦怠感・肝脾腫など症状が様々であるため,診断は他疾患の除外から始まり,苦慮することが多い.今回妊娠31週時に原因不明の発熱と全身倦怠感を認めた妊婦において,血球貪食症候群と診断し加療した症例を経験したため報告する.【症例】26歳,初産婦.帰省分娩目的に当院初診した当日,約1週間持続する38℃台の発熱と全身倦怠感を訴えた.発熱による全身の消耗が激しく経口摂取不良も認めたため,熱源精査と全身管理目的に入院となった.全身の診察にて発熱以外に有意な身体所見は指摘できず,血液検査では白血球数:6900/μl,CRP:6.4mg/dl,他肝逸脱酵素の軽度上昇とLDH・フェリチンの上昇・脾腫を認めた.ウイルス感染による発熱と診断し,補液・アセトアミノフェン投与にて経過観察を行った.また,入院後より汎血球減少を認めたため骨髄穿刺を施行,血球貪食組織球を認め,血球貪食症候群と診断した.対症療法の継続にて,入院後約10日で自然解熱・血液検査結果もピークアウトを認めた.経過中,児のwell-beingは良好であり,妊娠38週で経腟分娩となった.原因ウイルス同定のため母体血中ウイルス分離培養を行ったが,検出されなかった.【結語】ウイルス感染先行によると思われる血球貪食症候群を経験したが,対症療法のみで自然軽快し,満期産に至った症例を経験した.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
304-304, 2011
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