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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
妊娠初期に難治性の気胸を発症した,リンパ脈管筋腫症合併妊娠の1例
宮野 奈緒美, 中山 毅, 石橋 武蔵, 田中 一範
総合病院静岡厚生病院産婦人科
【緒言】リンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis:LAM)は生殖可能年齢の女性に好発する,比較的稀な呼吸器疾患である.今回妊娠初期に難治性の気胸を発症し,LAMと診断されたが,無頭蓋症のため中期中絶となった1例を経験した.文献的考察を加え報告する.【症例】38歳,0経妊0経産.子宮内膜異型増殖症に対し子宮鏡手術,高容量黄体ホルモン療法の既往あり.家族歴は特記事項なし.6度の人工授精にて妊娠成立.妊娠11週5日,呼吸困難,胸痛出現し,呼吸器内科にて右気胸と診断された.胸腔ドレナージ,胸膜癒着術を施行するも,再度気胸を繰り返したため,胸部CTを施行したところ,両側肺野にびまん性に嚢胞が多発しており,LAMと考えられた.妊娠16週1日,胸腔鏡下肺部分切除術を施行.病理結果よりLAMと診断.同時に,児は無頭蓋症が強く疑われたため,呼吸状態が安定した後,妊娠19週3日,中期中絶となった.妊娠19週5日,190gの男児を死産.外表上,羊膜索が臍帯付着部から児頭にかけて付着していた様子であり,羊膜索症候群が原因と考えられた.産後経過は問題なく退院.現在は呼吸器内科にて経過観察のみ施行中である.【まとめ】LAM合併妊娠の明確な管理指針はまだない.今症例は無頭蓋児であり中絶となったが,妊娠がLAMの病勢へ及ぼす影響と,その時点でのLAMによる呼吸機能障害の程度,胎児に与える影響など総合的に考慮し慎重に考える必要がある.また本症例では気管支炎様症状で受診し,呼吸器内科にて気胸やLAMの診断に至った.妊娠中は被爆の関係によりレントゲン検査が施行されない傾向にあるが,LAMのような偶発合併症を念頭に置くことも必要と考える.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
307-307, 2011
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