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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【一般演題】
血栓症の治療に苦慮した卵巣明細胞腺癌の一例


今井 一章, 長谷川 哲也, 時長 亜弥, 今井 雄一, 佐藤 美紀子, 沼崎 令子, 宮城 悦子, 平原 史樹
横浜市立大学附属病院産婦人科


卵巣明細胞腺癌は,婦人科悪性腫瘍の中でも血栓症の発症が多いことが知られている.今回,我々は,卵巣明細胞腺癌に合併した血栓症の治療に苦慮した一例を経験したので報告する.【症例】51歳.2G2P.【経過】右下肢痛を主訴に近医受診.骨盤内腫瘤を指摘され当院紹介受診となった.経腟超音波上,10cm大の充実成分を伴う嚢胞性腫瘍を認め卵巣癌が疑われた.傍大動脈リンパ節(PAN)転移も認められた.D‐dimer 20.6μg/mlと高値で下肢痛の訴えあり造影CT施行.右膝下静脈以下に多数のDVTを認めた.周術期にヘパリン持続静注を行い,単純子宮全摘,両側付属器摘出,大網切除術を施行.最終診断は右卵巣明細胞腺癌IIIc期(T3bN1M0)となった.術後は補助化学療法としてTC療法6コース施行,ワーファリン内服にて血栓治療を行った.PAN転移残存に対して,リンパ節郭清術を予定するも,多発骨盤内リンパ節転移,新たな肺動脈,右大腿静脈に血栓を認め,手術は危険と判断した.化学療法追加の方針としCPT-11単剤療法を開始したが,右大腿浮腫,血栓症の増悪を認め,永久IVCフィルター留置し,ヘパリンによる抗凝固療法を再開,浮腫は著明に改善した.再度ワーファリン内服し,適切なPT-INR値を維持するも症状再燃し抵抗性の血栓症と判断.再度ヘパリンによる治療を開始したところ,血栓症のコントロールは良好となった.【考察】下肢深部静脈血栓合併症例では,本症例のようにワーファリンによる血栓症のコントロールが不良な症例があることも念頭に置くも重要である.今後,卵巣明細胞腺癌の血栓症発症のメカニズムを追及し対策を講じることも今後の課題と考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 310-310, 2011


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