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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
腹腔鏡下術後に卵巣境界悪性腫瘍と判明した4症例
苅部 瑞穂, 三科 美幸, 宮上 哲, 清水 華子, 隅 靖浩, 齋藤 佳実, 青木 弘子, 横川 香, 横山 和彦, 齋藤 裕
昭和大学藤が丘病院産婦人科
【緒言】腹腔鏡下手術は術後回復が早く美容面で優れているため,患者からの要望は多く近年腹腔鏡下手術件数は急増している.今回我々は当院で平成19年1月から平成22年12月までの期間で術前に良性卵巣腫瘍と判断し,腹腔鏡下手術を行った208症例のうち術後.境界悪性腫瘍と診断された4症例の術前画像診断やその後の治療について検討を行った.【症例】4症例のうち1症例の腫瘍径は6cm大であり,3症例は15cmを超える大きさであり,いずれも画像上充実部分を含まない単房性腫瘍であった.腫瘍マーカー(CA125,CA19-9,CA72-4)は4症例いずれも正常範囲であった.4症例とも腹腔鏡下に腫瘍内容を吸引後,のう腫摘出術をおこなった.病理結果はいずれも粘液性嚢胞腺腫境界悪性であり,1症例はその後子宮全摘術と両側付属器摘出術を施行し,3症例は妊孕性温存希望があったため追加手術は施行しなかった.1症例は術後6カ月で未受診となり追跡不能であったが,3症例は再発もなく経過観察中である.卵巣は腹腔内臓器であり術前の良悪性の判断は腫瘍マーカーや画像によって行う.しかし卵巣境界悪性腫瘍では腫瘍マーカーは必ずしも高値を示さず,また画像においても隔壁の肥厚や乳頭状増殖を必ずしも示すものでもないため卵巣境界悪性腫瘍の術前診断は困難である.術中に悪性を疑う所見があれば,術中迅速病理診断や術式変更を考慮する必要があると考えられる.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
313-313, 2011
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