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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
当科で経験した卵管癌21例の臨床病理学的解析および術前診断の可能性の検討
今井 宗, 角田 玲子, 清澤 恵未, 山岸 由起子, 角田 英範, 安藤 大史, 近藤 沙織, 橘 涼太, 鹿島 大靖, 宮本 強, 堀内 晶子, 塩沢 丹里
信州大学産婦人科
【目的】卵管癌は婦人科悪性腫瘍の約1パーセントを占める稀な腫瘍であり,卵管癌の術前診断は困難とされてきた.今回,当科で治療を行った原発性卵管癌症例の臨床病理学的特徴を解析し,併せて術前診断の可能性につき検討した.【方法】1998年から2009年までに治療を行った原発性卵管癌21例について検討した.【成績】年齢は35歳から70歳(平均56.6歳)で主症状は水様性帯下2例,不正性器出血10例,下腹部痛3例,腹部膨満感5例であった.子宮内膜細胞診断が施行された13例中6例に異常を認めた.腫瘍マーカーはCA125高値が13例(平均1103 U/ml)にみられた.術前のMRI診断が卵管癌であったのは17例,卵巣癌が3例,子宮体癌が1例であった.MRI上,子宮から連なるソーセージ様の嚢胞性腫瘤が卵管癌の診断上重要であった.組織型は漿液性腺癌15例,未分化癌は2例,明細胞腺癌2例,類内膜腺癌1例,癌肉腫1例で,臨床病期は1期5例,2期1例,3期12例,4期3例であった.原発巣が限局されていても傍大動脈リンパ節の転移が高頻度に認められた.NAC施行後の2例を含め全例に手術を施行し,optimal症例は12例で,術後治療を拒否された1例以外は全例に術後化学療法を施行した.再発部位は傍大動脈リンパ節転移が6例であった.平均観察期間 76か月(10カ月から156カ月)で7例が死亡,3例が坦癌生存,11例が無病生存であった.【結論】卵管癌は婦人科悪性腫瘍の中で発生頻度が低く,従来その術前診断は困難とされていたが,MRIでのソーセージ様腫瘤の検出が診断上重要であると考えられた.また傍大動脈リンパ節の転移が高頻度に認められことから,傍大動脈リンパ節郭清を積極的に行う必要性があると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
314-314, 2011
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