|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
ヘモグロビン値から推測する巨大児
有澤 正義
都立大塚病院検査科
【背景】臨床的に巨大児(4000gを超える児)の出生体重の推測は超音波では難しいと報告されている.巨大児の背景には,臨床的には,妊娠前は母体の出生児体重,経産婦,母体の高身長,母体の肥満,母体の糖代謝異常などがある.妊娠中は母体の体重増加や浮腫の報告もある.分娩時は分娩時出血などの問題,分娩後は母体の糖代謝異常のfollow upや児の低血糖や神経学的なfollow upも必要である.巨大児の臨床的なことは検討されているが,検査のことはほとんど報告がない.【目的】私は,妊娠中の血液検査で巨大児を推測しようと考えた.さらに,妊娠中は母体は循環血液量が増え貧血傾向にあることも知られているので母体の血液の標準を検討したいと考えた.【方法・材料】3993分娩のなかに巨大児を32例(0.8%)認めた.32例の母体背景,母体の体格,母体の妊娠中のヘモグロビン値,児の体型(Ponderal index(PI=(体重g)/(身長cm)3×100))を検討した.【成績】巨大児を出産する母体の背景は既往の巨大児分娩が高率で,母体の体格はBMI25以上が17例,母体の糖代謝異常が5例合併していた.32例の母体に貧血傾向が認められた.児のPIで3以上のものが14例であった.【考察】母体の糖代謝異常や,大きな母体で大きな児は推測しやすいが,母体の貧血と大きな児の推測は少し難しい.検査科の大切な業務の1つに検査値の標準を作成するという項目がある.今回は妊婦の血液学的な検討で巨大児と母体の貧血の関係がわかった.ただし,妊婦の血液の標準値は今まで検討していないので,巨大児を推測するだけでなく,その意味を検討する.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
315-315, 2011
|