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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))

【一般演題】
Amniotic fluid sludgeの増大を認め,早産未熟児に敗血症と反復性緊張性気胸を発症した一例


中山 敏男, 松本 玲央奈, 石川 香織, 小松 篤史, 高木 紀美代, 菊池 昭彦
長野県立こども病院総合周産期母子医療センター産科


【緒言】Amniotic fluid sludgeは羊水中,内子宮口付近に認められる高エコーの沈殿物であり,子宮内細菌感染,絨毛膜羊膜炎,切迫流早産のリスクが高いとされている.我々は,sludgeを伴った頸管無力症例を経験したので報告する.【症例】38歳2経妊0経産.妊娠23週に頸管無力症の診断で母体搬送となった.来院時より胎胞内にsludgeを認め,安静と塩酸リトドリン・抗生物質投与による保存的治療を開始.CRP1.0mg/dl前後のまま頸管所見の進行なく,妊娠26週の腟分泌物培養検査でGBSとKlebsiella oxytocaを認めたためABPC点滴を開始.Sludgeは入院時より増大した.妊娠27週5日から少量の性器出血と腹緊増強を認め子宮収縮抑制剤投与を増量したが,妊娠28週3日に陣痛開始し足位の適応で緊急帝王切開術を施行.術中羊水は黄色透明で,出血量は938ml,出生児は1163g女児で,Apgar score 5/9.母体産褥経過は良好で,産褥8日目に退院.胎盤病理所見はchorioamnionitis stage 1であった.一方,児は気管内挿管されNICUに入院したが,鼻腔咽頭培養からKlebsiella oxytocaを検出して全身状態と採血より敗血症が疑われた.また反復する両側の緊張性気胸を合併し重症経過をたどった.【結語】Amniotic fluid sludgeは表皮細胞や好中球,細菌などの塊と考えられている.Sludgeの臨床的意義は未だ十分に明らかになっていないが,本症例に認められたsludgeの増大傾向と治療抵抗性の切迫早産は,出生後の重篤な新生児感染や全身状態を予見する可能性が示唆された.


関東連合産科婦人科学会誌, 48(3) 318-318, 2011


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