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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
妊娠24週未満に発症したHELLP症候群の2例
竹内 穂高1, 菊地 範彦1, 今西 俊明1, 谷野 静江1, 小野 恭子1, 高津 亜希子1, 大平 哲史1, 金井 誠2, 塩沢 丹里1
信州大学産婦人科1, 信州大学保健学科2
HELLP症候群は溶血,肝酵素上昇,血小板減少を主徴とする予後不良な疾患で,妊娠27〜37週での発症が多く24週以前の発症は稀とされている.今回,妊娠21週および22週に発症したHELLP症候群の2例を経験したので報告する.症例1は34歳の初産婦で,妊娠21週6日に心窩部痛にて前医を受診し,血圧160/110,AST;490,ALT;448,血小板8万/μlの所見から,HELLP症候群と診断され当院に母体搬送された.硫酸マグネシウムの投与開始とともに心窩部痛は軽減し,血液検査値の増悪もみられなかったため,週数を考慮し妊娠継続とした.妊娠23週2日に検査値は正常化したが,25週から上腹部痛が再び出現し,26週0日にはAST;1317,ALT;1382,血小板4.2万/μlと急激な悪化を認め,母体適応で帝王切開術が施行された.症例2は33歳の初産婦で,妊娠22週5日に心窩部痛が出現し,夜間救急施設を受診した.軽度の肝酵素上昇(AST;48,ALT;48)を認めたが,胃腸炎としてブチルスコポラミン臭化物が投与され帰宅した.2日後も心窩部痛が持続するため別の近医を受診したところ,AST;206,ALT;208,血小板6.3万/μlの所見から,HELLP症候群の診断で当院に母体搬送となった.直ちに硫酸マグネシウムの投与が開始されたが,4時間後に血小板数が3.8万/μlまで低下したため,母体適応で帝王切開術が施行された.両症例とも術後48時間から血液検査値の改善を認めた.妊娠21〜22週の時期においても,心窩部痛に対してはHELLP症候群の発症を念頭に置いた管理が重要である.またHELLP症候群では母体適応で妊娠終了が必要な場合が多く超早産期に発症した場合にはその対応に苦慮するが,保存的に妊娠週数を延長可能な場合もある.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
319-319, 2011
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