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第122回学術集会(平成23年10月30日(日))
【一般演題】
産科出血に対する選択的動脈塞栓術―平成22年度に施行した7例の検討―
草西 多香子1, 本田 能久1, 田代 英史1, 和田 真沙美1, 千葉 純子1, 諸岡 雅子1, 都築 陽欧子1, 中島 義之1, 坂井 昌人1, 正岡 直樹1, 遠田 譲2
東京女子医科大学八千代医療センター母体胎児・婦人科1, 東京女子医科大学八千代医療センター画像診断・IVR科2
【目的】産科出血に対して近年選択的動脈塞栓術は有効な治療法の1つとして行われている.当院で施行された産科出血に対する選択的動脈塞栓術について検討した.
【対象】対象は2010年4月から2011年3月までに行われた産科出血に対する選択的動脈塞栓術7例で,年齢は平均34.1歳(21〜41歳)であった.前置癒着胎盤による子宮全摘後3例,遺残胎盤1例,前置胎盤による帝王切開後1例,頸管裂傷1例,帝王切開瘢痕部妊娠1例であった.
【結果】選択的動脈塞栓術施行までの出血量は平均4,993ml(518〜10,716ml),6例で輸血を要した.産科DICスコアは平均8.9点(0〜16点)で8点以上を5例に認めた.塞栓物質は全例ゼラチンスポンジを使用し,2例は金属コイルを併用した.選択的動脈塞栓術の止血成功率は71%(5/7)で2例は開腹止血術を余儀なくされた.無効例の1例目は全前置穿通胎盤のcesarean hysterectomy術後の腹腔内出血で,術中出血は9,929mlであった.左上膀胱動脈付近から造影剤の血管外漏出が認められ動脈塞栓術を施行したが血圧が安定せず,開腹止血術に移行した.2例目はVBAC鉗子分娩後の産褥搬送例で,5,000mlを超える外出血があり,左子宮動脈末梢からの造影剤の血管外漏出を認め,選択的動脈塞栓術を施行したが,DICを契機に弛緩出血を併発し,単純子宮全摘術に移行した.摘出子宮の頸管内腔に裂傷を認めた.
【結語】選択的動脈塞栓術は,重症産科出血の多くに対し有効な止血方法であった.当院における開腹移行例の2例は,高度の凝固障害を伴っており,このような場合は,血管内治療に固執せずに迅速に開腹手術に変更する判断が必要と考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 48(3)
320-320, 2011
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